dino999z氏制作のフリーゲーム「Vincent: The Secret of Myers (英語版Alpha)」の邦訳記事です。ゲームのダウンロードはこちらから。
※現在は英語版verAlpha 1.0.0を元にしています。
※意訳・超訳・誤訳あり。
（前→チャプター２：マイヤーズ社隠し通路）
（次→チャプター３：マイヤーズ社ラボ）
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
☆マイヤーズ社ロビー
？？？
ヴァレリア様？
ヴァレリア
……。
？？？
ヴァレリア様。お言葉ですが、ここでお休みになるのは賢明な判断ではありませんよ。
ヴァレリア
……？
ヴァレリア
な……なにが起きたの？
？？？
こんばんは、ヴァレリア様。
ヴァレリア
！？
？？？
このような廃墟でお会いするとは、実に驚くべき運命のいたずらです。
＊
目の前には、上品に着飾った黒髪の青年がいた。
＊
見た目はヴィンセントによく似ているが、彼よりずっと若い。
ヴァレリア
……申し訳ないけど、あなたは？
？？？
……。
？？？
こうなる定めだった、ということなのでしょう。
？？？
偶然が運命のように見えるのは若い時だけ。後になって、我々の人生の行路はすでに定まっていたということを知るのです。
ヴァレリア
……。
ヴァレリア
（そこまで歳を取っているようには見えないけど……）
ドラコ
私はエッジワース様の執事。ドラコとお呼びください。
ヴァレリア
ヴィンセントの？ じゃあ、あなたが私を助けてくれた人？
ヴァレリア
さっき通路で見た人影もあなただったのね？
ヴァレリア
マイヤーズ社でなにをしてるの？
ドラコ
それはどうでもいいことです。貴女がお探しのもののほうが大事でしょう？
ヴァレリア
私の探してるもの？
ドラコ
真実。貴女は真実を探している。
ドラコ
エッジワース様の過去。ブレイク様の事件。マイヤーズ社の秘密……。
ドラコ
貴女はそのすべてを知りたいと思っている。
ドラコ
しかしヴァレリア様。こんな言葉をご存じですか？
ドラコ
悪事への好奇心は、穢れた思考から生じる忌まわしき病であると。
ヴァレリア
……。
ヴァレリア
……ドラコ、なにを知ってるの？
ドラコ
私はただの浅学の従者。マイヤーズ社の過去のことなどほとんど知りません。
ドラコ
実のところ、貴女のような素敵な方がこの廃墟で朽ち果てていくさまを見るのが耐えられなかったのです。
ドラコ
もちろんここに来たのには私の個人的な理由があります。しかし同時に、貴女の衝動的な行動を止めたいという思いもあった。
ドラコ
来た道をお戻りになったほうがよろしいですよ、ヴァレリア様。
ドラコ
貴女はここの人間ではない。ここにいるべき人間でもないのです。
ヴァレリア
……。
ヴァレリア
ご親切にどうも、ドラコ。
ヴァレリア
でも、私はもう決めたの。
ヴァレリア
あなたの言う通りよ。私はマイヤーズ社のことを知りたいと思ってる。
ヴァレリア
でももっと大事なのは、失くしてしまった私自身を見つけ出すこと。
ヴァレリア
名前、故郷、家族……
ヴァレリア
全部取り戻したいの。
ヴァレリア
あなたがここに来た理由は知らないけど、あなたが探してるものも見つかるといいね。
ヴァレリア
それじゃ。
ドラコ
……。
ドラコ
馬鹿な人だ。
ヴァレリア
……？
ドラコ
人類の惨劇の歴史を学んだことがある者なら誰でも、無知がその惨劇の源になっていると断言するでしょう。
ドラコ
一見立派な貴女の勇気は、魅力的な外装に包まれた無知に過ぎません。
ドラコ
貴女はご自身がなにに直面しようとしているのか微塵もご存知ない。
ドラコ
行く手を阻むあらゆる危険に立ち向かうことができると、本当に信じておいでですか？
ドラコ
これから明らかになる真実を受け入れることができると、本当に信じているのですか？
ドラコ
貴女の記憶は……ご自身の命よりも大事なものなのですか？
ドラコ
不躾な物言いをお許しください、ヴァレリア様。貴女は真実が明らかになる前に、死神の腕に抱かれることになるでしょう。
ヴァレリア
……。
ヴァレリア
ヴィクターの話はいいところを突いてたのかもしれないわ。
ヴァレリア
記憶を失ったのは、私にとってはやり直しのためのチャンスだったのかもしれない。
ヴァレリア
以前の私はどんな人間だったのか？ それは誰も知らない。
ヴァレリア
記憶喪失は私の意図的なものだった可能性もある。今起きているあらゆる出来事は、私が望んでいたことなのかもしれない。
ヴァレリア
でもねドラコ、そんなの私にはどうでもいいの。
ヴァレリア
昔の私は昔の私としての決断を下した。でも今の私は、今の私だけが、今の決断を下すことができる。
ヴァレリア
そして今の私に分かるのは……記憶を失くしている今の状態を完全だと思ってないってこと。
ヴァレリア
真実を見つけるまで私は諦めない。
ドラコ
……。
ドラコ
そこまで固い決意をお持ちでしたか、ヴァレリア様。どうやら私にやれることはなさそうです。
ドラコ
では、私とゲームをしませんか？
ヴァレリア
ゲーム？
ドラコ
貴女はマイヤーズ社の過去のことや、ご自身とのつながりを調べるためにここにいらっしゃった、そうでしたね？
ドラコ
では、貴女がこれまでお知りになったことを私にお示しください。
ドラコ
私の質問に正しく答えることができたら、貴女がここで調査を続けることを認めます。
ドラコ
ただし……
ドラコ
失敗した暁には……
ド？ラ？コ？
私がこの手で貴女を殺す。
生か、死か
（注意：ドラコの質問に対し、あなたは２回だけ間違えることができる。）
（２回以上間違えるか、回答時間を超過した場合、即座に死亡する。）
（今セーブしておくことを強く勧める。）
【QUESTION 1】
ド？ラ？コ？
平和な世では最大の賞賛を受ける仕事のみが望まれます。平和な世では、革新をもたらす創造的な方法こそが重視されます。
ド？ラ？コ？
科学が伝統という名の枷を壊して発展していくためには、創造と想像が必要です。
ド？ラ？コ？
G4地区最大の独占企業であるマイヤーズ社とて例外ではありません。
ド？ラ？コ？
人類は、創造し、新しいものを取り入れる能力を授かっていたことにより、あらゆる種の頂点に立ちました。
ド？ラ？コ？
しかしマイヤーズ氏にとって、そのような能力はただ道具を作るために使われるべきものではありませんでした。より重要な役割を持っていたのです。
ド？ラ？コ？
資源が強さを伸ばすために使われれば、どの才能も切り捨てられることはなくなるでしょう。資源が弱さを補うために使われれば、どの人間も満足しなくなるでしょう。
ド？ラ？コ？
ゆえにマイヤーズ氏は、会社の創立当初からあるスローガンを掲げていました。
【→DESIGN,CREATE,ENHANCE. MYERS CORPORATION.】
（正解：デザインし、創造し、向上する。マイヤーズ社）
（マイヤーズ氏によれば、人類は新しいものを取り入れる能力を授かっていたことにより生き残った。）
（そうした能力は道具を作るためだけでなく、人類の強さを伸ばすためにも使われるべきである。）
（一般的な人々と比べて、肉体改造を受けたマイヤーズ社の社員は高い作業能力を示した。）
（ゆえにマイヤーズ社は人間の強さをデザインし、創造し、向上させることに注力したのだった。）
【QUESTION 2】
ド？ラ？コ？
山河は限られた土壌を育むのみ。されど凡俗の魂は限りなし。
ド？ラ？コ？
罪深き魂は裁きを受くるに値せず。持てる者たる天地にその身を還すよりほかに贖罪の道はなし。
ド？ラ？コ？
これはマイヤーズ社の捜査中に警察が発見した福音書から抜粋したものです。
ド？ラ？コ？
この福音書は、G4サイボーグ事件の真犯人の思想を体現していると考えられています。
ド？ラ？コ？
「真犯人」と言われる人物は無期懲役を言い渡され投獄された一方、マイヤーズ社自体はなんら非難を受けることはありませんでした。
ド？ラ？コ？
ですが、事件後に起きた不可解な連続殺人により、事件には表面上は分からない秘められた事情があると信じられるようになりました。
ド？ラ？コ？
2081年7月20日、G4中央刑務所地区の近辺で小規模の爆発が発生し、刑務所の壁が一部破壊されました。
ド？ラ？コ？
それ以来、マイヤーズ社の元研究員であり、G4サイボーグ事件の真犯人としても知られる人物の行方が分かっていません。
ド？ラ？コ？
では、悪名高きウィンストン・ルーミス氏は次のうちどなたでしょうか？
【→写真1】
（正解：写真1）
（内気な性格と友人の少なさから、ウィンストン・ルーミスはマイヤーズ社によりG4サイボーグ事件のスケープゴートに選ばれた。）
（グループチャットでは、『常にサングラスをかけ、無口で、少し猫背の人』と言われていた。）
（かつてジョンのデスクを使っていた元社員はこうも指摘していた……）
（……彼は『大勢の人間を地下室に連行して実験体にするようなタイプには見えない』と。）
【QUESTION 3】
ド？ラ？コ？
マイヤーズ社のような大企業にとって、成功を得るためには革新だけでは不十分です。資源を適切に利用するということも必要になります。
ド？ラ？コ？
地球は人類が創ったものではありませんので、地球そのものは人類の所有物ではありません。
ド？ラ？コ？
人類の所有物は再創造を通じて得られます。そして、所有者は自らの所有物の賃料を社会へと支払わなくてはなりません。
ド？ラ？コ？
ほとんどの人々にとって、G4サイボーグ事件という悪夢は2080年のあの週に始まりました。
ド？ラ？コ？
多くの一般市民がなんの痕跡も残さず失踪しました。彼らは全員、失踪直前にG4地区近辺で目撃されていました。
ド？ラ？コ？
ですが、真に奇妙だったのは……
ド？ラ？コ？
G4警察の捜査によると、この一般市民たちは、マイヤーズ社地下で製造されていたサイボーグではなかったそうです。
ド？ラ？コ？
だとすると、マイヤーズ社のサイボーグの元となったものはなんだったのでしょう？
【→EMPLOYEES OF MYERS CORPORATION】
（正解：マイヤーズ社の社員）
（ヴァレリアはサイボーグの眼球を使い、マイヤーズ社の社員用の隠し通路に入ることができた。）
（マイヤーズ社の元社員・ジョンの記憶でも、ジョンのデスクを使っていたかつての社員、およびジョン自身が、無残に殺害されたことが示唆されている。）
（マイヤーズ社は長きに渡りさまざまな極秘の研究を行っていたため、社員の多くは自分の家族とほとんど連絡を取ることができなかった。）
（そのため、社員の失踪が気づかれることはなかった。）
【QUESTION 4】
ド？ラ？コ？
科学者は個々人のアイデアには頼りません。何千もの人々の集合知を拠り所とします。
ド？ラ？コ？
全員があるひとつの問題について考え、全員がその仕事に取り組んで初めて、積み上がりゆく偉大なる知識の塔の一部となるのです。
ド？ラ？コ？
同様の考え方により、より効率的な労働を実現するべく、マイヤーズ社は大小さまざまな部署に分けられていました。
ド？ラ？コ？
そして優秀な社員が１人ずつ、専用の部署に割り当てられていました。
ド？ラ？コ？
その中には、優秀な大卒社員であったブレイク様とエッジワース様もおられました。
ド？ラ？コ？
科学の道は平坦なものではありません。苦難を恐れず急峻な坂道を登る者のみが、その栄光の頂に到達する望みを抱くことができます。
ド？ラ？コ？
さて、マイヤーズ社の元社員であったブレイク様とエッジワース様は、どちらの部署にいらっしゃったでしょう？
【→INVEST DEPARTMENT AND LEGAL DEPARTMENT】
（正解：投資部と法務部）
（過去のジョンの記憶から、ヴィクターはジョンの上司であり、マイヤーズ社投資部の部長でもあったことが判明している。）
（またジョンとヴィンセントとの邂逅において、ヴィンセントが弁護士であり、マイヤーズ社の潔白を証明する役目を負っていたことが明らかになっている……）
（……G4サイボーグ事件における潔白をだ。彼は『会社の反対側にある』法務部から来たことが示唆されている。）
生存
ドラコ
お見事です、ヴァレリア様。期待通りでした。
ヴァレリア
質問には全部答えたわ。約束通り私を解放して。
ドラコ
ご随意に。実のところ、初めから貴女を傷つけるつもりはありませんでした。
ヴァレリア
……。
ヴァレリア
『私がこの手で貴女を殺す』って脅しはなんだったのよ？
ドラコ
そう言えばゲームがもっと面白くなるかと思いまして。それだけです。
ヴァレリア
……。
ヴァレリア
（会う人会う人、変な人ばっかり……）
ヴァレリア
執事さん、私もあなたに聞きたいことがあるの。
ヴァレリア
『私はただの浅学の従者。マイヤーズ社の過去のことなどほとんど知りません』
ヴァレリア
私の記憶が正しければ、あなたはそう言ってたわね。
ドラコ
申し上げました。それがなにか？
ヴァレリア
それが真っ赤な嘘だったということが分かったわ。
ヴァレリア
あなたはなにを隠してるの？ それにどうしてここにいるの？
ヴァレリア
答えるまでここから帰さないから。
ドラコ
……。
ドラコ
（ため息）このお方には勝てません。
ドラコ
お話ししても構わないでしょう。
ドラコ
実は……
ドラコ
エッジワース様が、マイヤーズ社との間に揉め事を抱えておいででして。
ヴァレリア
揉め事？
ヴァレリア
それって……
ヴァレリア
例の自動車事故のこと？
ドラコ
ヴァレリア様、貴女は実に聡明なお方です。すでに察しがついておられるでしょう。
ドラコ
あの自動車事故は事故などではありません。マイヤーズ社によって周到に仕組まれたものです。
ヴァレリア
……。
＊
それなら、G4サイボーグ事件の話を聞いたときのヴィンセントの陰鬱な表情も頷ける。
＊
マイヤーズ社のやり口とも完全に一致している。
＊
しかし……
＊
マイヤーズ社はなぜヴィンセントを殺害しようとしたのだろうか？
ヴァレリア
理解できないわ。ヴィンセントがなにをしたの？
ヴァレリア
G4サイボーグ事件による窮地からマイヤーズ社を救い出したのはあの人でしょう？
ドラコ
理由は単純。
ドラコ
あの方がG4サイボーグ事件の真相をご存知だったからです。
ドラコ
エッジワース様はマイヤーズ社の弁護士でしたが、
ドラコ
幹部陣にとってはただの駒であり、部外者にすぎませんでした。
ドラコ
自らの分を弁えぬ駒は捨てられます。
ドラコ
知るべきでないことを知っている用無しの部外者を始末する方法として、もっとも手っ取り早く、効率的なのは……
ドラコ
この世界から抹消してしまうことです。
ドラコ
ゆえに、マイヤーズ社はパーティを開き、それに乗じて事前に計画していた自動車事故で我が主を殺害しようとしたのです。
ドラコ
しかし、マイヤーズ社も予想だにしていなかったことに、エッジワース様は生き残った。
ドラコ
マイヤーズ社の計画は失敗したものの、彼らはそこで終わりにはしませんでした。
ドラコ
それ以来、エッジワース様は頻繁にマイヤーズ社からの脅迫や嫌がらせを受けておいでです。
ヴァレリア
嫌がらせ？ マイヤーズ社は倒産したのに？
ドラコ
ええ。
ドラコ
G4サイボーグ事件の後、マイヤーズ社は秘密の地下組織となったようです。
ドラコ
しかし私からすれば大した違いはありません。
ドラコ
かつてのマイヤーズ社も、科学的研究という看板で身を隠したただのテロ組織だったのですから。
ヴァレリア
つまり、このマイヤーズ社の廃屋をいまだに使っている人たちは……
ヴァレリア
他ならぬマイヤーズ社の人たちだって言いたいのね？
ドラコ
それこそが私がここに来た理由です。その答えを探しに来たのですよ。
ヴァレリア
……待って。
ヴァレリア
ヴィンセントの自動車事故がマイヤーズ社によるものなら、マイヤーズ社の幹部陣の死はどう説明するの？
ドラコ
別の人間の仕業でしょう。それが誰なのかは分かりませんが。
ヴァレリア
……。
＊
つまり実際は、マイヤーズ社によるヴィンセント殺害未遂の後、別の犯人がマイヤーズ社の幹部陣を暗殺したということか。
ヴァレリア
じゃあ……最後にもうひとつだけ。
ヴァレリア
あなたは知ってるの、私がどういう風に……
ヴァレリア
この一連の事件に関わっているのかを？
ドラコ
……。
＊
一瞬、ドラコの笑みが消えた。
ドラコ
……すまない、ヴァレリア、それは分からない。
＊
なぜか、ドラコの口調がにわかに暗くなった。
＊
慇懃さが突然消え失せたことも相まって、私は言葉に詰まった。
ドラコ
貴女はそれを求めてここにいらっしゃったのでしょう？
ドラコ
答えはきっと見つかりますよ。
＊
らしくないことをしていると突如気づいたかのように、ドラコの顔に笑みが戻った。
＊
だがこのとき、彼の笑みは……少し様子が違った。
＊
別の誰かを思わせる笑みだ。
ヴァレリア
ドラコ、手を貸して欲しいの。
ヴァレリア
二人で一緒に調査すれば、真実はすぐに見つかる。
ドラコ
私とパートナーを組みたいと？ 実に恐縮です。
ドラコ
よくお聞きください、ヴァレリア様。
ドラコ
これからお伝えすることは、我々の調査にとってとても重要なことです。
ドラコ
このロビーを始点として、マイヤーズ社は左右二つのセクションに分かれます。
ドラコ
二つのセクションにはそれぞれ違う部署が入っています。左手のセクションにはブレイク様の投資部が。
ドラコ
そして、右手のセクションにはエッジワース様の法務部があります。
ドラコ
どちらから調査を始めるかは貴女にお任せします。
ドラコ
どちらのルートを選んでも、最終的には地下へと向かいます……
ドラコ
言い換えれば……G4サイボーグ事件が起きた隠し部屋へ。
ヴァレリア
つまり、ヴィクターの過去を知りたかったら左へ。
ヴァレリア
ヴィンセントのことが気になるなら右へ行けってことね。
ドラコ
興味深いご説明です。それでも間違いではありません。
ドラコ
では……
ドラコ
ヴァレリア様、決心はつきましたか？
ヴァレリア
……。
注意：マイヤーズ社ロビーから、ゲームは二手に分岐する。
ヴァレリアが選択したルートによって、異なるイベントが展開する。
話を分かりやすくするため、ルート２（左）はルート１（右）をクリアした後にアンロックされる。
＊
どちらのルートを選ぶべきだろうか？ →【ルート１（右）】
ドラコ
右手ですか。エッジワース様のほうが気になるということですね。
ヴァレリア
これまで集めた情報から考えると、ヴィンセントのほうがG4サイボーグ事件により密接に関係しているみたいだから。
ヴァレリア
法務部を調査すれば、私たちが求める答えが見つかるはずよ。
ドラコ
なるほど。異論ありません。
＊
！？
＊
ドラコと私が意見の一致に至ったちょうどそのとき、突如ロビーのインターホンが鳴り響いた。
インターホン
よｳコソ、ﾏイﾔｰズ社へ。
インターホン
世ｶい一の機械しｷ義肢ﾉ製造会社トしてﾃテ、
インターホン
我が社は国サｲ的な規ｶくを定ﾒ、ナﾅなナンバーわン企業とシてのｲめージを確立ｼﾃいﾏす。
インターホン
でザイんし、創造ｼ、向ｼﾞょうスる。マイヤーズ社。
インターホン
ﾄﾞうぞ滞在ヲおﾀノｼみくだサい。そしてスバラシイすばらしいｽﾊﾞﾗｼｲ素晴らしいすばﾗしいスバラシイｽﾊﾞﾗｼｲすバらしいくるしい一日を！
＊
！？
＊
社員用通路のはるか彼方から……悲痛な咆哮が響いた。
ドラコ
まさか。奴ら、あの人にいったいなにを！？
＊
ドラコの表情がにわかに険しくなる。
ヴァレリア
奴ら？ あの人？
ヴァレリア
ドラコ、なにが起きてるの？
ドラコ
説明している時間はありません。ヴァレリア、行って！
ヴァレリア
ちょっと待って……ドラコ！
＊
言い終わる前に、ドラコは私をロビー右手の部屋に押しやり、フロントのデスクのボタンを叩きつけるように押した。
ヴァレリア
ドラコッ！
ドラコ
ヴァレリア、君は真実を知りたいんだろう？ 自分のことを知りたいんだろう？
ドラコ
なら行くんだ。今ここで死んだら君の努力がすべて無駄になる。
ヴァレリア
でもあなたはどうするの！？
ドラコ
僕はただの執事だ。心配しなくていい。
ドラコ
僕が全力であの人を引き留める。
ヴァレリア
で、でも……
ドラコ
ヴァレリア、君と同じように、僕にも過去がない。
ドラコ
少し前まで、僕の人生は空虚で、色彩もなくて、退屈としか言いようのないものだった。
ドラコ
でも、ある一人の人間がやってきて、僕を取り巻くなにもかもを変えてくれた。
ドラコ
彼女は僕を空虚な世界から解放して、今より大事なものなどないということに気づかせてくれた。
ドラコ
彼女は僕にとって大事な人だ。二度も失うわけにはいかない。
ヴァレリア
……。
ヴァレリア
ドラコ……
ヴァレリア
私たち……知り合いなの？
＊
答える代わりにドラコは微笑んだ。
ドラコ
私はドラコ・エッジワース。お会いできて光栄です、ヴァレリア様。
ヴァレリア
！？
ヴァレリア
ドラコ！！ ドラコッ！！！
＊
私の叫びに……ただ、沈黙だけが応えた。
