四の五の

OFF派生のまとめとか洋ゲーの和訳とか

Renew ザ・ルーム~ラストまで(The Room:END)

Brandy氏制作のOFF派生作品「Renew」の邦訳記事です。
ゲームのダウンロードはこちらから。
※OFF派生作品「RISE」の続編に当たります。
※性別は男性を選択、プレイヤーの名前は「プレイヤー」に置き換えています。
※メインストーリーのみの翻訳です。実際にプレイしている際の補助として使うことを想定して作っています。メインストーリー以外の要素(NPCの会話、謎解きなど)は是非プレイして確かめてください。
※OFF非公式日本語版未プレイにつき個人訳準拠です。意訳・超訳・誤訳あり。
(前→ゾーン4
(次→目次

 

 

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●ザ・ルーム
☆第5章・全てを終わらせた戦争
 遥か昔、今のゾーンが生まれる前に、とある世界があった。

 その世界には、とてもたくさんの人間が暮らしていた。
 彼らはテクノロジーの力を使い、繁栄を極めていた。

 しかしその世界は、国家のことや信念のこと、その他もろもろの論争で溢れていた。
 人間たちは戦争を起こし、お互いに争い始めた。

 人間たちは大量破壊兵器を使い、その威力は都市という都市を薙ぎ払った。

 核兵器は、他のどの兵器にも勝る威力を有していた。
 現在のゾーンにはそのような兵器は存在しない。それには相応の理由があったのだ。

 世界はその破壊的な力によって更地と化し、撒き散らされた放射能はほぼ全ての生命を一掃した。ほぼ全てを、である。

 生存者はごくわずか。ほんの一握りしかいなかった。



 この世界は死んだ。
 希望はない。なにひとつ残されてはいない……


 その世界は滅んだ。
 生命の住める場所ではなくなった。

 生存者たちは新たな世界を求めた。


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☆第4章・そしてそこにいたのは4人
※背の高い男(The Tall Mister)
デーダン
 近ごろはずいぶん冷え込んできやがった。
 核の冬が来たに違いねえ……

デーダン
 お前の母さんは暖かい格好をさせてくれてるか?
 そうだといいが。

デーダン
 うっ、クソ……しまった。悪いな坊主、今朝がた牛に噛まれちまったんだ。
 ズキズキ痛みやがる。

デーダン
 あ、いや、おい、泣くこたねえよ。ほら、俺のコートで涙を拭け……

デーダン
 俺に手を貸してくれるのか?
 回復魔法が使える俺の友人を探してきてくれねえか?


※優しい女性(The Kind Lady)
ホシ
 こんにちは、坊や。
 え? あなたのお友だちが怪我を?
 あらあら、それはいけない。

ホシ
 私が彼を見てきましょう。
 心配はいりません、彼なら平気ですよ。


※背の高い男(The Tall Mister)
デーダン
 彼女を探してきてくれてありがとよ、坊主。
 ほら、お礼にこいつをやるよ。

デーダン
 感謝の気持ちだ。気にしなくていいぜ。

  本を見つけた。


※大男(The Big Mister)
イーノック
 やあ、こんにちは! ああ、下がってくれ、君をうっかり踏み潰したくない!

イーノック
 すまないが今はお喋りしていられないんだ、サトウキビを探しているんだよ、美味しいお菓子を焼くためにね。

イーノック
 君も探すのを手伝ってくれるかね?

イーノック
 サトウキビを見つけたら戻ってくるんだよ!


※鳥(The Bird)
ヤフェト
 その手にあるものはなんです?

ヤフェト
 本でしょうか?

ヤフェト
 え? 大きな男の人が、サトウキビを?

ヤフェト
 落ち着きなさい、なにを言っているのかさっぱり理解できません……

ヤフェト
 その本をわたくしにくれるなら、あなたのご友人を手伝ってあげましょう…… →【はい】

ヤフェト
 素晴らしい!

ヤフェト
 さて、その大男をどう手伝ったものでしょう。
 この近辺でサトウキビを見た覚えがありますね……


※背の高い男(The Tall Mister)
イーノック
 ハッハッハ、ありがとう、少年。

イーノック
 君は頼りになる子だね。

ヤフェト
 本をありがとうございます、この貧しい時代においては貴重な宝物です。

デーダン
 アッハッハ。賢いチビすけがいたもんだ。

ホシ
 坊やのお母さまもきっと鼻が高いでしょうね。

イーノック
 君のお母さんが来るまで、君と一緒にいてもいいかもしれない……

ヤフェト
 時間のことや、この世界の運命についてお話しましょう。

デーダン
 いずれ俺たちのものになる国の地図を描いちまうっていうのもアリかもな……

ホシ
 施設や、お仕事や、私たちの安息の地の図案を考えましょう。

イーノック
 どう思う、少年?

ヤフェト
 わたくしたちがみな、普遍の幸福の守護者となる未来!

デーダン
 みんなが仕事を持ってて、積極的に和を保とうとする未来。

ホシ
 誰もが自分の場所を持っていて、平和と愛情を感じられる未来。

イーノック
 いつでももっと幸せな生活を夢見ることができて、子孫が我々の希望に手を触れることができる未来。

ヤフェト
 もちろん、こういう大人の会話はあなたには理解できないでしょうね……

ヤフェト
 わたくしたちの話などさっさと忘れてしまうべきです、この世界の暗がりに光った最初の星々など。

デーダン
 さあ、外に行きな。遊んでこいよ。温かい灰の中から生まれ変わろうとしてるこの新しい世界を楽しむんだ。

ホシ
 かつての世界の残滓を味わい、最後の夕陽を浴びるのです、星々が凍てつく前にね。

イーノック
 ボヤボヤしている時間はないよ!
 おかしな理想論者4人の浮かれたお喋りなんて聞く必要はない。

ヤフェト
 あははは……

  「革命の月」を手に入れた。


トフィー
 シ、シナモン? 大丈夫?

シナモン
 ………………

トフィー
 シナモン、ぼくから離れないで。

シナモン
 ………………俺……

シナモン
 すまない……少し……デーダンを見てた……
 あの人は死んだって分かってるけど……つらくて。

シナモン
 あの人……最初はあんなに親切で楽しそうで……優しかったんだな……
 でもその後、あれが起きた。

シナモン
 エマニュエルのクソッタレ!
 デーダンの命を奪いやがって……

シナモン
 彼らが思い描いていたような世界が実現するとは、もう思えない……

トフィー
 シナモン、そんな風に言うのはやめてくれ!

トフィー
 そんなの、ぼくが知ってるシナモンじゃない。
 きみはもっと強い人だ!

トフィー
 きみなら乗り越えられるよ。
 きみは独りじゃない。ぼくがいる。

シナモン
 ……ありがとう、トフィー。

シナモン
 先に進もう。


※お母さん(Mother)
 今日は友だちと遊んだ。
 変なことばかり言ってたな、ぼくがもっと大人になったら分かるのかも。

 近ごろは本当に寂しい。
 ママ、どこに行ったの?
 またここに戻ってきて欲しいよ。

 パパも欲しい。

 作っちゃおうか?


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☆第3章・新たな始まり
ザッカリー
 生命反応は安定してる。
 こいつは成功だと言ってもいいんじゃないかね。

ホシ
 成功は、これが本物の生命だったとき……魂を持っていたときだけです。
 見てみましょう。

ホシ
 こんにちは。あなたのお名前は?

エルセン
 ………………

ホシ
 ……この子も植物状態
 心もない。魂もない。

ホシ
 人を本当に生かしているものとはなにか……それをもっと深く調べる必要がありそうですね。

エルセン
 …………………………

ホシ
 もしもし? どうしたの?

エルセン
 ……うぅぅぅ……

エルセン
 ここは……どこ……?

ホシ
 ここはザ・ルーム。
 あの最後の戦争を生きのびた者たちの隠れ家です。

ホシ
 自分が誰だか、分かりますか?

エルセン
 僕……? ぼ……僕は……

エルセン
 エル……シン……エルセン……

エルセン
 エルセン。僕はエルセンです。

ホシ
 この子……自分で自分に名前を?

ホシ
 なんてこと……

ザッカリー
 「エル・デジタル・シナジー」か……
 ホシ殿、こいつは自ら名前をつけただけじゃない、周辺の環境からその名前を取ってきたんだ。

ホシ
 思考し……感じ取り……知覚する……
 ザッカリー……

ホシ
 これがどういうことかお分かりですか?!

ホシ
 私たちは意識のある生命を創ったのです!

エルセン
 僕? 僕のことを話してるんですか?

ホシ
 ええ、そうです! あなたは素晴らしい奇跡……

ホシ
 エルセン。あなたはこの死の世界に輝く希望のかがり火なのです……

エルセン
 えっと……もう理解が追いついてないんですが……

ホシ
 いいのですよ、今すぐ理解する必要はありません。
 しかし、ザッカリーに採血してもらう必要はあります。

ホシ
 少し痛みますが、私がいます。
 私と一緒なら大丈夫。

エルセン
 うう……わ、分かりました……

エルセン
 いたっ!

ホシ
 大丈夫……大丈夫ですよ。

ザッカリー
 ホシ殿、俺はこいつを研究所に持っていく。DNAを抽出して、健康状態を確認しよう。

ホシ
 お願いね。私はエルセンを連れて行きましょう……


 そして……ホシはあの研究所で、無から生命を創り出した。

 ママは相変わらずいない。
 ママが作るのを手伝ってあげてる新しい世界を管理するので手一杯。

 だから決めたんだ、この研究所を使ってパパを創ろうって。
 一緒にキャッチボールして、ママがいないときには一緒にいてくれる人を。

 悪いことになんかなりゃしないでしょ?


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☆第2章・作られた家族
ヒューゴ
 もし……あの優しい女の人が言ってたことを全部やれてれば……あの人がもうじき出てくるはず。

ヒューゴ
 新しいパパが……そしたら、ぼくはもう独りじゃない。

ヒューゴ
 パパ!

ヒューゴ
 パパ! ぼくだよ、ヒューゴだよ!
 パパの子どもの!

バッター
 ………………

バッター
 ……ヒュー……ゴ……

バッター
 俺の……子ども……

バッター
 了解した……

バッター
 俺は……お前の父親なんだな?

ヒューゴ
 うん! ぼくのパパだよ!

ヒューゴ
 パパってなにか分かる?

バッター
 説明を……頼む……

ヒューゴ
 えーと……パパはね……
 自分の子どもと一緒に過ごすんだよ! そして守るの。
 いつだってその子を幸せにしてあげるんだ。

バッター
 分かった。その基準を満たすよう尽力する……

ヒューゴ
 やった! それじゃ行こう、ぼくがここにいるのがあの優しい女の人にバレる前に。

バッター
 いいだろう。

 

バッター
 「ボクサーは、ボールマン率いるクローン軍団を倒すことができるのか? 恋人デイジーとの再会は叶うのだろうか? それは次のお話で……」

バッター
 「パニック イン ボールヴィル!」

バッター
 ……

バッター
 面白かったか、ヒューゴ?

ヒューゴ
 ……

バッター
 ヒューゴ?

ヒューゴ
 ん? ごめんねパパ、ウトウトしてた。
 ボクサーは勝った?

バッター
 いや。まだだ。

ヒューゴ
 ちぇっ……

ヒューゴ
 ……

ヒューゴ
 あ、薬を飲まなきゃ……この薬、嫌いだな。

バッター
 お前はなぜこれを?

ヒューゴ
 病気だからってママが言ってた。薬を飲まないともっと悪くなるんだって。

バッター
 病気……?

ヒューゴ
 病気になるのは悪いことだよ。苦しくなることもあるし。

バッター
 ……………………

バッター
 そう……なのか……

バッター
 薬を飲んで寝るんだ、ヒューゴ……いいな……

ヒューゴ
 うん、パパ……


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☆第1章・バッター
バッター
 あの子がいなくなってずいぶん経つ。

バッター
 この部屋に残されてからどれほど経ったのか覚えていない……

バッター
 こんなことは……好きじゃない……

バッター
 この部屋の外にある世界……それが、そもそもあの子が病気になった理由なんだろう。
 穢れている……

バッター
 穢れはあの子に伝染し……
 そして今、あの子を連れ去った。
 そういうことに違いない……俺は……
 この世界を浄化しなくては……

バッター
 そうだ! ヒューゴのために!

バッター
 アハハハ、もうこの世界が俺から誰かを奪うことはない! 奪う者がいなくなるからだ!


シナモン
 ……そ……それが……
 あいつが大勢の人を殺した理由?! 死んだのかどうかすら知らない人の復讐のために?!
 真実かどうかも分からない理由で?! 無駄死にじゃないか……!

シナモン
 全員が無駄死にだった!
 バッターめ……
 俺は……俺はあいつを許せない!
 そんなに浅はかだったなんて!

トフィー
 シナモン……長い間ひとりきりになると……
 人は大きく壊れてしまうこともあるんだ……

トフィー
 初めて会ったときのぼくがどんなだったか覚えてる?
 絶望してて、暴力的だっただろう……

トフィー
 エマニュエルも同じだったんだ……孤独のあまり狂ってしまったんだよ。
 そのせいだったのかもしれないな……ぼくがあいつのことをあんなにすぐに信用したのは。

トフィー
 あいつに裏切られたことがあんなにつらかったのもね……
 あいつ、ぼくに似てるなって思った。

トフィー
 でもあいつはあまりにも長い間孤独だった、人とつながることができなかった……

トフィー
 それに、あのヒューゴって子が創り出す過程でヘマしたのかもしれない。

トフィー
 だから、神さまになれてしまうもののそばに子どもを近づけちゃいけないんだ……

シナモン
 い……言いたいことは分かるよ、トフィー。
 でも……それでもあいつのことは許せない。
 理解できないからじゃない。

シナモン
 あの哀れなゲス野郎に思いやりとか、絆とか、そういう他者の何かしらを感じる能力があったのなら……デーダンはまだ生きていたかもしれない。

シナモン
 ゼロも……あいつに殺された他のエルセンたちも……

シナモン
 ここを出よう……
 女王様を探すんだ。この場所にいると頭が酷く痛む。


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☆第0章・クイーン
クイーン
 よく頑張ったわ、シナモン。

クイーン
 あなたのガーディアンとしての新たな力が開花しているのを感じる。

クイーン
 あなたは強いエルセンなのね、ここまで来るなんて……
 あんなことが起きたというのに。

シナモン
 女王陛下……

クイーン
 ここに来た理由は分かっているわ。
 ホシに言われたのでしょう、情報と助言を得よと。

クイーン
 ザ・ルームはあなたの求める答えをすでに与えた。
 いささか奇妙な方法で。

シナモン
 では……ゾーンが作られる前のことも……あの子のことも……バッターのことも。
 あなたの命令でザ・ルームが見せたものだと?

クイーン
 ある意味ではそう。あなたはきっとバッターはどこから来たのかと尋ねるだろうと思った。
 だからザ・ルームに命じてその物語を見せた。

クイーン
 あなたはデーダンのことが恋しいのでしょう。
 彼が亡くなってからまだ数日しか経っていない……
 運が良ければ、彼を蘇らせることができるかもしれない。うまくいくかは保証しないわ。
 これは、ガーディアンを蘇生させるカード……

  スペードのエースを手に入れた。

シナモン
 ガーディアンを……蘇生させる……

シナモン
 デーダンはまだ生きられる可能性があるんですか?!
 ああ……ああ、よかった……お……お分かりにはならないでしょう、それがどれほど大事なことか。

シナモン
 ありがとうございます……本当にありがとうございます、女王陛下! 感謝します!

クイーン
 失敗する可能性もあるわ、シナモン。
 その場合、あなたには知っておかなければならないことがある。

シナモン
 な、なんでしょう、女王陛下……?

クイーン
 ゾーン1のガーディアンになれば、あなたは不死となる。
 老いて死ぬことはできなくなる。

クイーン
 あなたは大いなる責任を負う。
 仲間たちよりも長い時を生きることになる。
 重責を背負うことになるのよ。

シナモン
 わ……分かりました、女王陛下。
 その……もうひとつお聞きしたいことが。

クイーン
 話してみなさい。

シナモン
 ヒューゴは無事ですか?

クイーン
 あの子は元気よ。ザ・ルームの別の場所にいる。心配はいらないわ。

シナモン
 そ、そうですか。

クイーン
 急ぎなさい。ガーディアンを蘇らせなければ。

シナモン
 ああ! そうだ!
 トフィー、行こう!

クイーン
 幸運を。


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●ゾーン4・天文台
テイト
 で、どれがあんたなんだい……

テイト
 おれがまた逃げたとダニ-坊やにバレる前に、急いで済ませないと……

テイト
 ホシとマルコムへの詫びだ……
 面倒かけちまったからな。


テイト
 お前だな! 他の連中と雰囲気が違う……ダガーまで持ってる。
 お前がゼロだろ。

テイト
 よし……当たって砕けろだ
 この血清を注射して……

テイト
 これでよし……あとはうまくいくのを願うばかり……


テイト
 ワオ、本当に効いた。

ゼロ
 あれ……? あなたは?
 なにが起きたんですか? なっ、なんで死体だらけなんですか?!

ゼロ
 シナモンはどこ!?
 アルヴィは?! トフィーは?!

テイト
 落ち着けって……アルヴィの居場所は知ってるが、他は知らん……
 ついてきな。

ゼロ
 ……わ、分かりました……


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●ゾーン1・アルマ
シナモン
 デーダン?

デーダン
 シナモン? ……このマヌケ!
 ここを出ろって言っただろうが!
 あの野郎が……!

シナモン
 デーダン、落ち着いてくれ……
 エマニュエルは消えた。永遠に。
 も……もうこのガーディアンの権利は返しても大丈夫だ……もう安全だから。

デーダン
 どういうことだ? シナモン?

シナモン
 全部後で説明する……
 今は……


デーダン
 ……具合悪そうだぞ、坊主。
 俺が気を失った後にいったいなにがあったんだ?

シナモン
 あはは……長い話になるよ。 (終)