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OFF派生のまとめとか洋ゲーの和訳とか

HOME 設定・小ネタ集

故Felix The Judge氏制作のOFF派生作品「HOME」について、Felix氏のTumblrで投稿されていた設定・小ネタから興味深かったものをチョイスして和訳しました。
home(rambles)タグおよびhome(game)タグを参照しました。この記事では全ての投稿を網羅していませんので、興味のある方は是非ご自身で他の内容も読んでみてください。
※内容は投稿された時系列順に並べています。ゲームの最終版(ver1.0.4)が出る前の投稿もあるため、一部最終版と異なる内容が含まれている場合があります。
原文ママではなく、口語調の箇所を要約していたり、内容と関係ない箇所を省略しています。
(本編→目次

 

 
●Pentel, Gomez(原典
※原典にはErebos, Shachihata, Banditも一緒に説明されているが、ErebosとShachihataはこの後個別の説明がある&Banditは最終版には居ないので省略した。

☆Pentel
 これはペンテル、屠殺者である。言うまでもなくペンテルはかつてはそこまで暗く恐ろしい人物ではなかった。プレイヤーがジャッジの操り手となるまでは、ペンテルは熟練の技術で食肉処理場を運営していた。ある日、バッターの出現によって亡霊たちが暴れ出し、食肉処理場、果てはペンテルをも乗っ取った。デーダンは食肉処理場の鎮圧が済むまでペンテルの詰所を封鎖し、ジャッジとアランがこの厄介な亡霊の感染に対処することになる。

☆Gomez
 これは浄化後ゾーン2にいるしがない絵描きである。彼は韻を踏んで喋り、青色の絵を好む。名前はゴメスで、ファッショナブルな装いを好む。彼は青いエースの絵を描いており、彼にエースをあげればプレイヤーにお返しをくれる。彼は元々ゾーン2の居住区がヤフェトによって襲撃された時に自ら倉庫に閉じ籠もった。それにより後にゾーンを襲った浄化の波から逃れることができたのだ。

 
●The Judge(原典
 もう分かったと思うが、HOMEのジャッジは「シュレディンガーの猫」である。OFFのラストはシュレディンガーの猫の思考実験をなぞって終わる。2つのエンディングにおいてジャッジは生きてもいるし死んでもいて、プレイヤーがどちらの説を選んだかによって決まる。あなたがHOMEをプレイしているなら、おめでとう、あなたはジャッジエンドを選んだということだ。あなたは箱を開け、ジャッジが生きていることを確認したのだ。

 
●The Executioner(原典
Q.
 ゲーム開始時のバッターは「バッター」であり、振る舞いもスプライトも戦闘中の構えもバッターのままだったのに、巨大エルセンの体内で出会った時には(戦闘時に分かるが)服装が違っていて「エクセキューショナー」という存在になっていた。彼に何が起こったのか? どうして彼は変わったのか?

A.
 ジャッジはゾーン2の最上階でバッターの地位を「処刑人(an executioner)」と評した(訳注:現在のバージョンではこれに該当する台詞は確認できない。質問当時(2015年5月)のバージョンにはあったということか)。バッターの外見はメタフィジカルなものであり、観察者の見方に応じて変化する。二人が巨大エルセンの体内で対立した時、ジャッジはバッターのことを自分の宿敵でありカウンターパートとして認識した。ジャッジはバッターが真に求めていたものが浄化と救済ではなく、処刑と世界の終焉だったことを理解した。それによってバッターは新しく死神の装束をまとうことになった。もっとも変わったのは外見だけであり、バッターは依然としてHomerun系やRun with系の技を使い続け、いきなり鎌に由来する技を使い出すということはない。バッターの意図を知ったジャッジはバッターのことを「邪悪なる処刑人」と呼ぶが、これはゾーン2の最上階での自身の言葉を巧みに引用した結果である。


●影響を受けた作品(原典
 ストーリーを作る上で大きく影響したのはZero Escape: Virtue’s Last Reward(訳注:極限脱出ADV 善人シボウデスで、これをパクったこれにインスパイアを受けた。HOMEのコンセプトに通底するいくつかの理論(シュレディンガーの猫量子論)を取り上げているので、是非ともお勧めする。


●zone4の疫病(原典
 ゾーン4の疫病はペストをパクっている元にしている。一部はペストを、もう一部はヒューゴの病気を。それを示す主なヒントは図書館にあったペスト医師の本と、「ペスト医師」の存在だ。以下にもう少し詳しく述べる。

 「ペスト医師」はOFFにおけるセクレタリーの代わりに登場する。彼らの内実はセクレタリーであり、(訳注:Cat’s Eyeで)分析した時の情報には共通のものが使われている。彼らの用途はみな同じで、ガーディアンが消滅した後に出現し、行く先々であらゆるものを破壊する。
 話は変わるが、ゾーン4の黒いモンスター(Cat’s Eyeでは「????」)は、前述のペストのメタフィジカルな化身である。ちゃんとした構造体を持たず、他者を感染させるということ以外に意思も無く、ジャッジが分析できるような実体も持たない。彼らは女王が送り込んだものではなく、女王が操っているものでもない。彼らは亡霊とウイルスの混合体だ。文字通り。彼らは女王によって送り込まれた亡霊が疫病に感染した存在である。


●Burned General(原典
※前項「zone4の疫病」から内容が続いている。

 バーントジェネラルことシャチハタは、まさにこの疫病に冒されていた。この疫病はゾンビウイルスやペストと類似している。感染者の精神を狂わせ、大抵は自ら命を絶たせる。しかしシャチハタは強靭な意思を持ってそれを制御しようとした。疫病はその意思の下に発現し、シャチハタを狂気の瀬戸際へ導いた。彼は図書館へ行き、武器の開発に関する本を見つけた。煙・メタル・肉・プラスチックを使い、大昔の動乱で使用されていたものと類似した武器(訳注:銃)を作ることに成功したものの、狂気の元素と疫病とが悪影響を及ぼし、その武器によってシャチハタは変えられてしまった。銃はシャチハタと融合し、彼の腕を覆った。シャチハタはその腕を使い、大気中の煙を取り込んで自在に発砲できるようになった。他者を感染させるという意思のみを持つ例のウイルスは、その意思をシャチハタに植え付けた。そしてそれはシャチハタにひりつくような動機を与えた。彼は暴走し、闇雲に発砲した。その弾丸は感染源となる傷を作った。やがて致命傷を負った人々はシャチハタと疫病によって操られるようになった。それはアリに見られるような集合的意識のネットワークというよりも、シャチハタの命令に無条件に従う軍隊と言った方が正しい。たとえ命令によって自分が犠牲になるとしても、彼らはもはやその命令に背く力を持たないのである。


●Erebos(原典
 エレボスはゾーン4の図書館を運営する司書だった。端的に言うと、エレボスはシャチハタを上階に入れることを拒否したために、シャチハタに殺害された。上階は封鎖された状態にしておかなければならないというエレボスの意思と決意により、上階へ続く階段には呪いが掛けられ、そしてエレボスの魂は地下にある図書館のコンピューターに入り込んだ。哀しいことに、ジャッジたちは先に進むためにそのコンピューターをシャットダウンすることになった。そしてそれはシャチハタの侵攻を許した。シャチハタが10階に到着するまさにその寸前、ジャッジたちは彼に追いつく。
 小ネタ:「エレボス(エレバス)」とはギリシャ神話における暗黒の神。またマジック・ザ・ギャザリングにも「死者の神、エレボス」というカードに名前が登場している。


●Faux Guardians(原典
Q.
 フェイク・ガーディアンについては?

A.
 これについては、常識的な範囲でかなり曖昧にしてある。僕はプレイヤーに解釈してもらうために物事を漠然とさせたままにしておくのが好きなのだ。彼らはガーディアンの亡霊なのか? それともジャッジの歩みを遅らせるために作られた偽者のガーディアンなのか? 以下に重大なネタバレを記す。

 実際のところ、フェイク・ガーディアンの影像はガーディアンを表している。彼らは実際にそこに居るわけではない。オブザーバー(訳注:ウィットネス)が話していたように、彼らはジャッジを起因として発生した存在である。ジャッジはその影像を倒すことで、ガーディアンたちの罪を雪いでいる。フェイク・ガーディアンとは、透明な器に詰め込まれたガーディアンたちの罪や間違った行いの記憶であり、それをジャッジが打ち倒しているのだ。これによりガーディアンたちは自分を憎むべき存在に変えたものを忘れることができる。ウィットネスはこう語る。「ジャッジ、あなたはこの場所に辿り着くことで善行を為した。ガーディアンたちのどす黒い業を消し去った。」

 この場面では、ウィットネスではなく彼女のアドオンが話しているということが示唆されている。アドオンがどうやってこのことを知ったのか? それはHOMEにおけるアドオンとは何なのかという別の話題になってくる。

 フェイク・ガーディアンの話に戻ろう。彼らは偽者であり、ジャッジの意思によって存在していた。一連の行為を経て、彼らはコートルームの中に現れた。彼らが明日は誕生日パーティだと思っていたのはこのためだ。「あの」誕生日パーティまでのことを彼らは全て忘れた。先の出来事を彼らは覚えていない。まっさらな状態である。HOMEには白にまつわる物事が多い。OFFでは白は悪いものとして捉えられていた。HOMEにおいては、清浄、まっさらな状態、何でも描ける白いキャンバスとして捉えている。

 エンディングでガーディアンが猫たちと一緒に居たのもそのためだ。猫たちはそこでガーディアンを支えている。世界が蘇ったことで、ヒューゴも再び元気になった。新しい人生を始めるために世界は「死ぬ」必要があった。ヒューゴの健康状態は世界を反映したものであり、世界は死にかけていた。世界に新しい命が吹き込まれたことで、ヒューゴにも命が吹き込まれた。

 当初、フェイク・ガーディアンはガーディアンの「亡霊」という形でバッドエンドにのみ登場する予定だった。しかしそれは良くない気がして、ジャッジが「シュレディンガーの猫」としての能力を発揮するところを見せる場面にできるのではと考えた。観察されていない時の世界が自らを変え、編集していくという能力。量子論のテーマに深く関連する内容だ。

 コートルーム第2章のガーディアンの間は最後に浄化しようと思っていたが、そうしていたらプレイヤーが僕の書いたダイアログを、ひいてはストーリーの一部を見逃すことになりかねなかっただろう。HOMEがもっと短いゲームだったらそうしていたかもしれない。

 「何をしたらそのバッドエンドになるのか?」(訳注:ここで言う「バッドエンド」とは、前述の「ガーディアンが亡霊として登場する予定だったバッドエンド」のことか。)
 サイレントヒルに近いやり方だ。サイレントヒルでは大抵の場合プレイヤーの行動はストーリー展開に影響しないため、プレイヤーの技術的な選択がエンディングを左右することはない。エンディングはひとえにゲーム内のダイアログにおけるプレイヤーの選択に基づいて変化する。

 もうひとつのポイントは、バッターはガーディアンを倒すたびに強くなるということだ。彼がガーディアンを二人倒せばジャッジには勝てないほど強くなり、最後の戦いでプレイヤーを圧倒する。しかしそれでもジャッジは生き延びて、ゲームはOFFにおけるジャッジエンドと同じように終わる。

 もしバッターがガーディアンを三人とも倒していれば、ゲームはOFFにおけるバッターエンドと同じように終わる。ジャッジは倒され、スイッチがオフになる。


●HOMEの楽曲におけるライトモチーフ(原典
※曲名のアルファベット順に並べている。
※()内は楽曲が使われている主な場面を示す。

Bloodstained Tomes(ゾーン4・図書館)
:Kleptomaniac(ゾーン4・屋内)のスロー版を使用

Brown Markers(コートルーム第2章・バグ部屋)
:OFFのGrey Pencil(ザ・ルーム第4章・落描きマップ)のリミックス版

Downfall of the Monarchy(コートルーム第5章・クイーンの間)
:OFFのTender Sugar(ゾーン0・シュクレのイベント)を一部使用

Empty Stare(ウィットネス登場シーン)
:OFFのThe Race of a Thousand Ants(ザ・ルーム第0章・ヒューゴの間)を使用

Fervent Souls(ゾーン3・屋外)
:OFFのBurned Bodies(ゾーン3・屋外)のリミックス版

Hallowed Memories, Hallowed Memories (Echoes), Indictment, and Muffled Heart(コートルーム第1章&第2章・屋内)
:全て同じ曲で、逆再生するかスピードを変えている

Into the Magic Tunnel(ゾーン3・エリア2のモノレールから逃げるミニゲーム
:OFFのMagic Pipe(ゾーン3・煙突落下のミニゲームのリミックス版

Jokers Hourglass(ゾーン1・シャチハタ郵便局内)
:OFFのClockworks(ゾーン1・シャチハタ郵便局内)を一部使用

Last Weekend was the Best(ゾーン3・エリア3のヴィオラの店)
:OFFのToday is Worst&Yesterday was Better(ゾーン3・屋内)を一部使用

Nowhere to Begin-Everywhere to End(ウィットネス戦)
:Empty Stare(ウィットネス登場シーン)を使用

Omnivore(アラン戦)
:OFFのThe Woman of Your Dreams(ザ・ルーム第1章・クイーンの間)を一部含む

Pale Yellow Sun(ゾーン0・屋外)
:OFFのEmpty Warehouse(ゾーン0・屋外)を一部含む

Pure Hell(ゾーン4・屋外)
:OFFのThe Woman of Your Dreams(ザ・ルーム第1章・クイーンの間)を一部含む

Quaternitarian(ゾーン2・図書館上層階)
:Tower of Untamed Knowledge(ゾーン2・図書館)のスロー版で、OFFのDramatic Crescendo(ゾーン2・図書館頂上)も一部使用

Ravaging Angel(ヤフェト第1&第2形態戦)
:OFFのMinuit A Fond La Caisse(ヤフェト最終形態戦)のスロー版

Stillborn(ゲームオーバー時)
:OFFのSilencio(ワールドマップ)の非常に粗いリミックス版

Under The Counter(ゾーン2・ショッピングモール)
:OFFのWindows Licking(ゾーン2・ショッピングモール)のリミックス版

Welcome Home(タイトル画面)
:OFFのFourteen Residents(タイトル画面)を一部使用

Xenomorphic God(ゾーン3・イーノック邂逅時)
:Crestfallen(プロローグ)のリミックス版

Years of Hatred(ゾーン1・アルマのデーダンのオフィス)
:Cover from the Rain(ゾーン1・屋内)を含む

all of the Zero songs(浄化後の各ゾーン)
:Cover from the Rain(ゾーン1・屋内)、OFFのNot Safe(浄化後ゾーン)、OFFのToday is Worst(ゾーン3・屋内)の一部を含む


●メインキャラの声についての脳内設定(原典
ジャッジ:「アリス マッドネス リターンズ」のチェシャ猫

アラン:「The Elder Scrolls V: Skyrim」のジェイ・ザルゴ
(訳注:作中に登場するカジート族のような喋り方をイメージしており、ジェイ・ザルゴはその例。原典

ヴァレリー「スターオーシャン3 -Till the End of Time-」のフェイト・ラインゴッド

ジョズリン:「スターオーシャン4 -THE LAST HOPE-」のメリクル・シャムロット