四の五の

OFF派生のまとめとか洋ゲーの和訳とか

SpaceCommunist版OFFtale(平和主義ルート:ニューホーム)

SpaceCommunist氏作成のOFFtaleの邦訳記事です。
※UNDERTALEについては公式日本語版準拠ですが、OFFの世界観に合わせるため漢字メインにしています。
※OFFについては非公式日本語版未プレイにつき個人訳準拠です。

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(次→終章

●出典OFFtale AU - New Home (True Pacifist)

 

 

パピルス
 ……。

パピルス
 やあ、ニンゲン。
 ついに都へ辿り着いたのだな……我らがニューホームへ。

バッター
 ……。

パピルス
 きさまが無事で良かったぞ!
 他のみんなが人質のニンゲンをちゃんと扱ってなかったらどうしようと思っていたのだ! ニャハ!

パピルス
 ……ハ……

パピルス
 ……。

パピルス
 ああ、もうたくさん。
 人質だなんてくだらない。

パピルス
 そう、オレさまは変だよ、でもバカじゃないんだ。
 ウソをつかれれば分かる。
 子供扱いされれば分かる。

パピルス
 兄ちゃんはいいヤツだ、でも……
 オレさまは疲れた。
 ただただ……

パピルス
 疲れた。

パピルス
 守ろうとしてる人たちから邪魔者みたいに仲間はずれにされるのはもうイヤだ。

パピルス
 兄ちゃんに、らしくもなくヒーローみたいに扱われるのはもうイヤだ。

パピルス
 オレさまを指導してくれてる人が、こっそりオレさまのこと向いてないって言ってるのを聞いてしまうのはもうイヤだ。

パピルス
 うむ、オレさまはゴミ捨て場で彼女がそう言っているのを見たのだ。
 オレさまがきさまのことを見ていたとは全然思っていなかっただろう?

パピルス
 信じてくれ。
 通りがかったヤツがきさまのタマシイを取ろうとしていたのをオレさまが止めていなかったら、きさまはここまで来られはしなかったぞ。

パピルス
 ……。

パピルス
 ……そして、オレさまは全部がほとほとイヤになった。
 特に、これまで経験してきたことを抱えながら生きていくことに。

パピルス
 希望よりも思い出ばかりたくさんある人生なんて……生きる価値なんか無い。

パピルス
 でも、そのことはもうきさまはよく知っているだろう、バッター?

パピルス
 きさまの顔にも、目にも、よく表れているんだ。
 オレさまと同じように、きさまもイヤになっている。
 自分の中に大きな痛みと、苦悩を抱えている。

パピルス
 きさまは……大事な人を亡くしただろう?

バッター
 ……。

パピルス
 それだけじゃない。
 きさまの苦悩は……きさまをひどく蝕んでいる。

パピルス
 きさまは優しくするのを止めたいんだ。
 自分の……聖なる使命を再開したい。それが何であれ。

パピルス
 でもな、トラブルだらけの中で自分がやってきたことを振り返ってみてくれ!

パピルス
 きさまはモンスターたちに信じられないようなことをしてきたんだぞ。
 オレさまたちに、お互いを愛するということを思い出させてくれた……

パピルス
 ……その愛から、仲間はずれにされた人がいたとしても。

パピルス
 それでも……
 胸を張っていいことなんだ。

パピルス
 教えてくれ……
 きさまは、自分のやってきたことを誇りに思っているか?

バッター
 ……。

バッター
 いや。

パピルス
 ……。

パピルス
 きさまのステータスは見えてる。
 きさまの……LOVE。
 暴力レベル。

パピルス
 きさまは……
 みんなを深く傷つけてきたんだな。

パピルス
 それが誇りに思えない理由なのか?

バッター
 違う。
 我が神聖なる使命は、死に行く世界の苦しみに終焉をもたらした。

パッター
 そのことを、私は決して恥じたりはしない。

パピルス
 それでも、きさまは失ったもののために激しく苦しんでいる。
 オレさまにも感じられるくらいだ。

バッター
 ……。

パピルス
 きさまが恥じていることとは一体何なのだ?

バッター
 ……。

バッター
 私自身について、何一つ分からなくなってしまったことだ。

バッター
 私はこの世界のために、自らの信念から遠く外れていった。

バッター
 悪しき者の居ないという世界。
 悲劇と疑惑に満ちた世界。

バッター
 私は正しいことをしたい……
 だが、その方法は見つけられていない。

バッター
 私は「慈悲」のために神聖なる審判を離れた。
 それは……苦痛だった。

バッター
 それを……それを、何と表現すべきなのか分からない。

パピルス
 ……。

パピルス
 オレさまには、分かる気がするぞ。

パピルス
 きさまは良いことをしようとしている。
 モンスターにチャンスを与えようとしている。
 しかしそうすることによって、きさまの信念はズタズタにされてしまう。

パピルス
 他人に生きるチャンスを与えている自分のことが、きさまは大嫌い。

パピルス
 みんなを生かしておくことの何がそこまでいけないのだ?

バッター
 痛みを終わらせられない者をなぜ生かし、苦しませておかなければならない?

パピルス
 でもバッター……
 いつだって自分の問題を何とかする機会はあるじゃないか。
 少なくとも、殺さなくたっていい。

バッター
 違う。
 そうではないこともある。
 お前は私が何を見てきたか知らない。

パピルス
 ……。

パピルス
 バッター、それでもな。
 きさまはその苦しみにもがき続けるべきじゃない。

バッター
 何故?

パピルス
 きさまが自分の信念も新たなトラブルも抱えながら、それでも正しいことをしたいと思っているからだ! 正しいことが何なのかまだ分かってないとしても。

パピルス
 きさまは「良い」ことがしたいんだ、バッター。
 それで十分じゃないか?


パピルス
 ……オレさまたちは戦わなければならない。
 それが番兵としての義務なのだ。

パピルス
 オレさま自身はそんなこと全く望んでいなくても……
 そうしなければならない。

パピルス
 アンダインも……
 モンスターたちも……
 オレさまがきさまを捕まえなかったら、オレさまのことを受け入れてはくれない。

パピルス
 たぶんきさまにとってもそれは良いことなのだ。
 またバトルできれば、きさまの苦悩も頭から消え去るだろうしな。

パピルス
 もしそれが、オレさまにとってはツラい展開になっても……
 きさまのステータスからすればきっとそうなるだろうけど……

パピルス
 ……。

パピルス
 ま。
 失うものなんか何にも無い、でしょ?


バッター
 パピルス……

パピルス
 遠慮しないでくれ。
 きさまの全力をぶつけて、勝つのだ。
 きさまの苦悩を取り除くには、それしかない。

パピルス
 オレさまには……
 もう、何の価値もないから。



 パピルス……

 → 【思い出させる】


 あなたはパピルスに、友人たちはそれでも彼のことを愛していると伝えた。
 彼は黙っている。

パピルス
 ……。


 パピルス……

バッター
 ……。


 あなたは彼を抱きしめた。



 彼の眼窩から涙が零れた。
 それはあなたの肩に滴り落ちた。


 ……。


 あなたはパピルスを見逃した。


パピルス
 ……。

パピルス
 ありがとう。

パピルス
 こんな……

パピルス
 こんなこと、兄ちゃん以外の人からされたのは本当に久しぶりだ。

パピルス
 だから……

パピルス
 ありがとう。


バッター
 ……。

バッター
 知っておいて欲しい……
 私がここにいるのは、お前のおかげだ。

パピルス
 え?

バッター
 違う時間軸での話だ。
 私は我が使命を遂行していた。
 私はあと一歩で、この地を浄化するところだった。

バッター
 だがお前がそれを躊躇わせた。
 お前のことがきっかけになって、私は我が使命を考え直すことになった。

パピルス
 ……。

パピルス
 つまり……きさまの苦悩の原因は、オレさまなのだな?

パピルス
 そうだ。


バッター
 感謝する。
 私に目を覚ますよう説得してくれたこと。
 たとえ、少しだけだとしても。

パピルス
 ……どういたしまして、ニンゲン。

パピルス
 ……。

パピルス
 そうだな……

パピルス
 たぶん、アンダインや友だちに会いに行く必要があるな。
 その。
 「オレさまの」友だちに。

パピルス
 もちろん、みんなにはオレさまがどんな風にニンゲンを逃がしちゃったか伝えるよ。
 ニンゲンがどれだけオレさまより強かったかって。

パピルス
 ここできさまに会えてよかったぞ……

パピルス
 ……友よ?

バッター
 ……。

バッター
 ああ。
 友よ。

パピルス
 ……。