四の五の

OFF派生のまとめとか洋ゲーの和訳とか

SpaceCommunist版OFFtale(平和主義ルート:ホットランド)

SpaceCommunist氏作成のOFFtaleの邦訳記事です。
※UNDERTALEについては公式日本語版準拠ですが、OFFの世界観に合わせるため漢字メインにしています。
※OFFについては非公式日本語版未プレイにつき個人訳準拠です。

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●出典OFFtale AU - Hotland (True Pacifist)

 

 

バッター
 これには触らないほうがいいだろう。


アルフィー
 えっ。
 ちょっ。
 ウソでしょ。

アルフィー
 あなたは、バッター!
 信じられない、ここまで来られるなんて……

アルフィー
 わたし、まだおめかしもしてないのに!

アルフィー
 ねえ……アレ、言ってちょうだい!
 お、お願い!

バッター
 何を?

アルフィー
 ほら、アレよ!
 アニメだと、ニンゲンはいつも自己紹介してるじゃない!
 あなたにもあるんでしょ!

アルフィー
 あ、あるよね?

バッター
 ……。

バッター
 私はバッターだ、ある神聖なる使命を負っている。

アルフィー
 キャアアアアアアア!
 サイコー!

アルフィー
 それ、絶対あなたの決めゼリフにしたほうがいいよ。
 すごくキマッてる。

アルフィー
 とにかく、わたしは……

バッター
 ドクター・アルフィー

アルフィー
 うん……そ、そうだよ?
 あ、あなた、どうしてそれを……?

バッター
 あなた宛の手紙を持ってきた。

アルフィー
 ……。

アルフィー
 ああ。

アルフィー
 そうか。
 あの人たち、人をよこすようになったんだ……

バッター
 何だって?

アルフィー
 ごめんね、わたし……
 そういう手紙は、もう受け取りたくないの。

アルフィー
 (特に、カメラの前ではね……)

バッター
 ……。 → 【これは大事なものだと伝える】

バッター
 あなたに……これを読んでもらうことが、私には重要なんだ。

アルフィー
 そ、それが……じゅ、重要?
 そ、そう……

アルフィー
 わ、わ、わたしは……
 わたし、あの……
 ただちょっと……
 えと……

アルフィー
 ……。

アルフィー
 あの……分かった。
 今回だけね。


 (あなたは手紙をドクター・アルフィーに放り投げた。)

アルフィー
 おっとっと!
 落っことしちゃうとこだったわ……

アルフィー
 さて、じゃ……
 何て書いてあるか、見てみるね。
 差出人の名前は無しと……

アルフィー
 ……。

アルフィー
 ……。

アルフィー
 ……。

アルフィー
 ……。

アルフィー
 え、えっと。
 これは、予想してなかった。
 全然。

アルフィー
 これっぽっちも。

アルフィー
 その……

アルフィー
 これ、お世辞なんだよね!

アルフィー
 わたし、その、この手のお誘いには慣れてなくて……
 特に、こういうのには!

アルフィー
 でも、このお手紙はすっごく熱意があるし……
 情熱的だから……
 その……

アルフィー
 いいよ!
 わたし、あなたとデートに行きます!

バッター
 は?

アルフィー
 ああどうしよう、ぴったりな服なんか全然持ってない……

アルフィー
 でも!
 ただのゴミ捨て場だもの!
 たぶん大した問題じゃないよね、別に。

バッター
 その手紙はそういう意味じゃない。

アルフィー
 へえ、ゴミ捨て場でデートしようってチャラチャラした手紙がデートのお誘いじゃないっていうわけ?

アルフィー
 ほら、ちょっとくらい……
 分かんないけど、楽しそうにして!
 行きましょ!


メタトン
 ドクター・アルフィー
 子猫ちゃん?
 キミたち、どうやら完全に台本から外れたらしいね……


 その後、ゴミ捨て場にて……


アルフィー
 さあ……着いた!

アルフィー
 わたし、その……こういうこと、一度もしたことないから……

アルフィー
 ……う、うん。我慢してね。

 デート スタート!

バッター
 本当に、私はこんなことをするはずではなかったんだが。

アルフィー
 なに言ってるのよ! そんなにピリピリしなくたっていいの!

アルフィー
 わたしが、な、なんとかするから……


アルフィー
 ……。

アルフィー
 ……。

アルフィー
 そ、それで……

アルフィー
 ご趣味は?

バッター
 無い。

アルフィー
 あら。


アルフィー
 誰か……その……お友だちはいるの?

バッター
 昔、ボクサーと知り合いだった。

アルフィー
 へえ、それはカ、カッコいいね!

バッター
 それから会ったことはない。

アルフィー
 ……へえ。
 彼……その……元気だといいね……?

バッター
 恐らく、死んだ。

アルフィー
 そうなんだ。


アルフィー
 ほ、他には、お、お友だちは?

バッター
 猫がいた。

アルフィー
 へえ! 猫はいいね!

バッター
 今は私のことを憎んでいるがな。
 恐らく。
 彼がまだ生きているならだが。

アルフィー
 ああ……そう……


アルフィー
 あなたは、好きかな……その……

アルフィー
 ……ア、アニメは?

バッター
 それが何なのかは知っている。
 その程度だ。

アルフィー
 わっ! キスキスキューティみゅうみゅう観たことある? あれすっごくいいよ!

アルフィー
 あのゴミカスのキスキスキューティみゅうみゅう2は違うけど。オエッ。

バッター
 私は……

アルフィー
 基本的にはね、魔法少女のお話なんだ。

バッター
 いま重要なのはそこじゃない。

アルフィー
 で、友だちと一緒にステキな冒険に出るの!

バッター
 聞いていないな。

アルフィー
 友情の力がどれだけ素晴らしいものなのかってことを教えてくれて……

バッター
 アンダインが来るぞ。

アルフィー
 ……な、何て?

バッター
 話を遮ってしまってすまない。
 だがこれだけは言っておかなければならなかった。
 彼女があなたとデートをしにもうじきここへ来る。

アルフィー
 ……彼女とデート……?
 わ……わ、わたしが?!

バッター
 私が伝言しようとしていたのはそのことだ。
 あれは彼女の手紙なんだ。

アルフィー
 どうしようどうしようどうしよう……ストレートに考えられない……

サンズ
 女同士のデートじゃそれが大事なんじゃねえの?


アルフィー
 あ、あなた、ずっとそこにいたの……?

サンズ
 シーッ、オイラはお昼寝中だぜ!
 気をつけてくれよ、ドク。


アルフィー
 つまり、アンダインとのデートなんてただの夢物語だってこと?

サンズ
 うんにゃ、オイラはアンタを信じてるってことさ。

サンズ
 目を開けなくったって、アンタがうまくやれることは分かってる。

サンズ
 そら彼女が来たぜ、場外ホームランをカマしてやれ、アルフィー

アルフィー
 ま、待ってよ! わたしまだ準備が、服も全然ダメだし髪も……

アンダイン
 さあアルフィー、来たぞ……

アンダイン
 ……デートに。


アルフィー
 ……えと、その……こ、こ、こんにちは、アンダイン……


アルフィー
 げ、元気だった……?


アルフィー
 じゃ、その……あなたはまだ、アニメが好きなん……

アンダイン
 貴様はわたしのデートを横取りする気だったのか?!

アルフィー
 へっ……?

サンズ
 おい、静かにしろって。オイラ昼寝しようとしてんだぜ。

アンダイン
 あの手紙には日付とデートの相手しか書いてなかっただろう!

アンダイン
 カタブツのスポーツ野郎のニンゲンのことなんか書いてない!

アンダイン
 ……あと、何故か知らんがパピルスの兄貴のこともな。

サンズ
 よっ。

アンダイン
 そうだ、聞きたいことがあったんだ。
 あいつはどこにいる? わたしは見ていないぞ。

サンズ
 アンタと一緒にいるんだと思ってたぜ? 一緒に楽しくやってんのかと。

アンダイン
 いや、しばらく音沙汰がない。嫌な予感がするな。

アルフィー
 でも、その、彼ももう大人でしょ?
 自分のことぐらい自分で何とかできるんじゃないの……?

アンダイン
 しかし、あいつはドジだ。信頼はできない。わたしの料理くらいな。

アンダイン
 悪く言うつもりはないぞ。

サンズ
 おうおう、分かってるって。気にすんな。

アンダイン
 まあ、ただ……あいつは、わたしが信頼できるほど強くないってだけだ。

バッター
 それは少し言い過ぎではないか?
 彼は良い人だ。

アンダイン
 喋っていいとは言ってないぞ、デート泥棒め!

バッター
 聞け、彼は信頼していい。

アンダイン
 どうしてそんなことが言えるんだ、あん?

バッター
 私がお前たち三人を殺さないのは、彼のことがあるからだ。


アンダイン
 は?

アルフィー
 えっ?

サンズ
 *グガー*

バッター
 彼は以前、私のことを殺せないという話をした。
 彼は私に、使命についてどう思っているのかと聞いてきた。

バッター
 それが私を躊躇わせた。
 それ以来、私は我が神聖なる使命を成し遂げられずにいる。

バッター
 彼はお前たちが考えているよりもずっと強い。
 彼を信じてやるべきだ。


アンダイン
 そんなことを言ったって貴様がデート泥棒だという汚い事実は変わらないぞ!

アルフィー
 ア、アンダイン……

アンダイン
 だからわたしは、わたしの知っている唯一のやり方で貴様を止めてやる……

アンダイン
 アンダイン、止めて!
 か、彼がここにいるのはわたしのせいなんだよ、そ、そ、それでね……

アンダイン
 わたしは貴様よりもずーーっと上手に彼女とデートしてやる!

アルフィー
 へっ?

アンダイン
 *スーッ*

アンダイン
 アルフィー……お前は、私が知る中で最高の人だ。

アンダイン
 お前は、いつだって自分のすることに一生懸命だ! それがどれだけつらいことでも。

アンダイン
 それにそいつはみんなサイコーだ! ヘンテコな科学、アニメ……全部が!

アンダイン
 お前と過ごしている時間は本当に刺激的だよ、何をしていたって。

アンダイン
 だから……たぶんどう考えても、わたしは……その、本当の本当に……

アンダイン
……。

アンダイン
 この後、またちょっとデートに行かないかな……?


アンダイン
 ……アルフィー……?

アルフィー
 いいよ、アンダイン!! 信じらんない、1000回だっていいよ!!!

アルフィー
 あなたとのデートだったら、わたしは地球の果てだって行くよ、アンダイン!

サンズ
 なあ、ドク?

アルフィー
 もう一回デートするためだったら、100個のタマシイだって見つける!

バッター
 大丈夫か?

アルフィー
 あなたのためならキスキスキューティみゅうみゅう2だって2期まで観ちゃうよ、アンダイン!!!

アンダイン
 アルフィー

アルフィー
 ……は、はい?

アンダイン
 それは本当に素敵だ。でも、わたしのためにそこまでしなくていい。

アンダイン
 お前の情熱は、もうわたしに伝わってる。

アンダイン
 だから、さ……この見張り番は放っておいて、初デートを楽しもうよ。

アンダイン
 これも悪気は無いからな、相棒。

サンズ
 *グガガー*

アンダイン
 よし、アルフィー……行こうか?


アルフィー
 ね、ねえ……ありがとね。何をって話だけど……う、うん、もう行くね! じゃあね!


サンズ
 こんなこと言うのもアレだけどさ? ありがとな。

サンズ
 パップのこと、庇ってくれて。

サンズ
 ぶっちゃけオイラはアンタのこと信じてなかったんだ、アンタがアイツの話をするまでは。

サンズ
 だよな、マスク男さんよ?


ザッカリー
 やあ、アミーゴ!
 カラーは要るかい? それともバット?

サンズ
 実は、オイラたちずっとアンタに目をつけてたんだよ。何も起こらないように。

サンズ
 ま、目ん玉と、目の穴でだけど。

ザッカリー
 いや、どっちにしたってただのピクセルさ。

サンズ
 こいつはいっつもこういうおかしなことばかり言ってんな……

バッター
 いずれ慣れる。

サンズ
 とにかくアンタは先に進んでいいぜ、オイラが許可する。そんなもんが必要だったらの話だけど。

ザッカリー
 あと俺の商品も利用していいからな!

サンズ
 この先にはもう大したもんは無いけど……気をつけろよ、いいな?

サンズ
 ああ、あともしオイラの弟に会ったら……

サンズ
 たまには寝た方がいいって伝えてくれ。

ザッカリー
 そして、殺すなよ。

サンズ
 だな、それもだ。


 ホットランドに戻り……


メタトン
 おやこんにちは、ニンゲンさん!
 やっとキミを捕まえられたよ。すまなかったね……さっきはキミと会えなかったから。

メタトン
 まあ、キミとアルフィーがデートごっこに行っちゃったからなんだけどさ、全くもう!
 ……でも、昔の話だ。

メタトン
 ボクが誰かって?
 おやおや、ボクはメタトン……大スターのロボットアイドルだよ!
 そして、殺人兵器でもある。

メタトン
 最後のは気にしないでね、子猫ちゃん。こんなつれない態度を取られちゃったんだ、キミに死んで欲しくない。

メタトン
 キミには「苦しんで」欲しい。

メタトン
 生放送で大スターを呼びつけておいて恥をかかせるようなことはしないでよね!
 そんなことにはならないけどさ。

メタトン
 さあ、キミには報いを受けてもらうよ。
 アルフィーも一緒だ。
 ボクはもう、彼女の罪を隠しながらお遊びに付き合うのには疲れた。

メタトン
 つまりボクはキミたち二人ともお仕置きするってこと。
 魅惑の一石で二鳥を落とす!

メタトン
 どうやって、と聞きたいんだろ?
 ねえ、覚えてるかな、ボクはやっとキミを捕まえられたと言ったよね?

メタトン
 それは文字通りの意味なんだよ、子猫ちゃん。
 キミが立っているのは落とし穴の真上だ。


メタトン
 地獄へようこそ、ニンゲンさん。
 アルフィーの地獄へ。
 そして多くの人々にとっての地獄へ。いずれキミにも分かるはずだ……

メタトン
 キミを待っているからね。

バッター
 この場所には見覚えがない。
 慎重に行こう。


バッター
 「No.1」
 「ついにこの場所を再稼働させた。」

バッター
 「以前の所有者が誰なのかは知らないけど、部屋の手入れに無頓着だった人に違いない。」

バッター
 「ハハ……ああ、わたしったら何を。」
 「これは真面目にやらないといけない。」

バッター
 「何と言っても、今日は王国研究者としての最初の一日なんだ……」


バッター
 「No.2」
 「バリアは7つのタマシイの力で封印されている……」

バッター
 「正確には、7つのニンゲンのタマシイ。」

バッター
 「ラボで古い日誌を見つけた。いつでも見られるように、上の階に置いておこう。」

バッター
 「日誌には『NF』という物質のことが書かれていたけど、その唯一のサンプルは鍵の掛けられたシリンダーの中に保管されていた……」

バッター
 「前任者は、失踪した時にその鍵も一緒に持って行ってしまっていた。残念だ。」

バッター
 「さらに残念なのは、わたしの予測だと、それがあればタマシイの力をコピーできたはずだったということだ。まったく。」

バッター
 「すなわち、人工的にタマシイを作り出すという選択肢は無し……」
 「わたしたちの持つわずかな手段を利用していくしかない。」

バッター
 「王がわたしに課した仕事をやる時が来た。」
 「わたしはみんなを自由にする。」

バッター
 「そのために、わたしは誰も想像できなかったことをする。」
 「タマシイの力を解放するのだ。」

バッター
 「モンスターのタマシイを。」


バッター
 「No.3」
 「言い伝えが真実なら、モンスターからタマシイを抽出することは不可能。」

バッター
 「それをするためには、莫大なパワーが必要だからだ……」
 「それと、想像もつかないほどの速さが。」

バッター
 「ボスモンスターを除けば、宿主から離れたモンスターのタマシイは長くは維持できない。」

バッター
 「即座に移し変えない限り、消えてしまう。」
 「仮に成功したとしても、元の宿主はその場で命を落とす。」

バッター
 「つまり……わたしが恐ろしく手際良く、そして殺人を犯すことも厭わないようになるか、そうでなければ別の方法を探すかだということ。」

バッター
 「タマシイの維持さえできれば……」
 「ニンゲンのタマシイのように……」
 「それさえできれば……」


バッター
 「No.5」
 「信じられない……」
 「本当にできた!」

バッター
 「日誌とあの青写真を使って、アズゴアの持っていたニンゲンのタマシイからDTを抽出することに成功した。」

バッター
 「『決意』と言う。」
 「青写真にはそう書いてあった。」

バッター
 「死に抗う能力……」
 「その名前がダブルミーニングであると気付くのに少しかかった。」

バッター
 「前任者がどんな人なのであれ、本当に言葉遊びが好きな人だ。」

バッター
 「ひょっとして、サンズだったんじゃ……?」

バッター
 「……いや、彼はこういう役職向きのタイプではない。」
 「まあいいや。」

バッター
 「彼はいつ仕事に戻るのかな。」


バッター
 ロックされている。
 電源を復旧させる必要がある。
 電源スロットを探そう。


バッター
 「No.6」
 「アズゴアが、わたしのラボを使わせて欲しいとお願いしてきた……崩れ落ちたモンスターたちを安置するためだ。」

バッター
 「彼らは昏睡状態だけど……」
 「もう今晩はもたないだろう。」

バッター
 「しかしこのラボには今、タマシイを生き長らえさせる方法がある……」
 「少なくとも、わたしはそう信じてる。」

バッター
 「モンスターにもその家族にも、こんな死の悲しみを味わって欲しくない……」

バッター
 「それにもしこの実験が成功すれば、この監獄からの解放はこれまでよりぐっと近づく……」

バッター
 「決意を注入すれば、わたしは彼らを救えるかもしれない……それが無理でも、少なくとも彼らのタマシイは。」

バッター
 「それでわたしたちはみんな自由になれるかもしれない……」
 「わたしはこれをやらなくてはいけない。」


メタトン
 これまで見てきたもの、キミは気に入ったかな、ニンゲンさん?
 きっとそんなことはないだろう。

メタトン
 観客のご家族の中にも、これをあまりお気に召していない方がいらっしゃるはず。

メタトン
 しかし皆さま、ご心配なく!
 ここでスペシャルゲストをお迎えしましょう、皆さま大変お馴染みの……

アルフィー
 ウソでしょ、地下で何が起きてるの?
 バッター、聞こえる?

メタトン
 おお、ご覧になりましたか?
 皆さまお待ちかねのマッドサイエンティストが登場してくれました!
 ドクター・アルフィーにご挨拶を!

バッター
 聞こえている。

アルフィー
 ああ良かった、わたしはてっきり……
 その、何事もなくて本当に良かった。

メタトン
 おお、ご覧ください、モンスターの宿敵を案ずる彼女の姿を!
 しかし彼女は、本当に手を差し伸べるべき者たちのことには一瞬たりとも目を向けようとしません。

アルフィー
 メタトン、止めて!
 知ってるでしょう、わたしがどれだけ……あの人たちのことを気にしてるか。
 そうじゃない風に言うのは止めてよ!

メタトン
 おやおや、子猫ちゃん、ボクは止める気なんかさらさら無いよ。
 何てったってこれは「キミの」罪なんだ、ボクのじゃない。

メタトン
 ボクはキミの秘密を隠すことに疲れた。
 何より、キミに機械のように扱われることに疲れてしまった。

アルフィー
 ……。

メタトン
 ああ、ボクの表現が皮肉なのは分かってる。
 そんなこと構やしない。

メタトン
 ホットランドの住民も……この地底の世界の人々もみんな……キミがやったことを知るべきだ。
 それに正直言って、ボクはこういうドラマが好きでねえ。

メタトン
 さあ見守ろうよ、この「バッター」がそうと知らずにキミの大いなる秘密を続々と世に暴いていくのをさ。
 後ろには気をつけたほうがいいよ、ニンゲンさん。

アルフィー
 まだ地下には降りられない……エレベーターが止まっちゃってる……!

アルフィー
 ちょっと待ってて……すぐにわたしもそっちへ行くから!
 お願い、危ないことはしないで……

バッター
 私のことなら大丈夫だ。
 悪しき者は何人たりとも、私を導く神聖なる存在の手から逃れることはできない。

アルフィー
 分かってる、分かってるよ!
 ただ……
 心配なのは、あなたのことじゃないの。


バッター
 「No.9」
 「うまくいかない。」
 「モンスターが死んで塵にならない。」

バッター
 「これでは、約束通りにご家族に塵を返すことができない。」

バッター
 「しかし、彼らは目を覚ますわけでもない。」
 「未だに昏睡状態のままだ。」

バッター
 「わたしはタマシイを取り出すこともできない。」
 「宿主たちは一応、まだ生きているからだ。」

バッター
 「みんなそのことでわたしに連絡してくる。」
 「わたしに言えることはほとんどない。」
 「どうすればいいんだろう?」


バッター
 シンクの中に何かある。


 (赤い鍵を手に入れた。)



 (カチッ!)
 (あなたは赤い鍵をスロットにしっかりと差し込んだ。)
 (ドアの電源25%。)


バッター
 「Noo.12」
 「わからない。」
 「何か方法があるはずなのだ。」

バッター
 「とにかk片っ端からdDTを注入してみよう。」
 「それが大事。」


バッター
 「No.13」
 「彼らは生きていた? 遺体が目を開いてわたしを見た」


バッター
 「No.14」
 「成功した……歴史上のあらゆる生物が試みてきたこと。」

バッター
 「わたしは死を食い止めた。」

バッター
 「彼らはもう死んだと思っていたのに……彼らは立ち上がって、再び歩き始めた。」

バッター
 「彼らが言うには、特に違和感は無いとのこと。」
 「ご家族には、みんな元気だと伝えておいた。」


バッター
 「No.15」
 「DT研究に全く進展が無かったのは悔しい。」

バッター
 「でも、少なくともわたしは……不可能を成し遂げた。」
 「これについては、まだ研究の余地がある。」

バッター
 「少なくとも、バリア研究が忙しくない時にね。」

バッター
 「ご家族は明日にも患者たちの面会にやってくる。」
 「喜ばしいことだ。」

バッター
 「ところで、とうとうあのNFのシリンダーを少しだけ開けることができた。」
 「これはすぐにでも調べるとしよう。」

バッター
 「これを使えば、何らかの方法で、わたしたちは今までよりもちょっとだけ幸せになれるはz」


バッター
 「Noo.16」
 「ウソ シリンダー どこ」


バッター
 ビデオテープがある。使えるのは一つだけだ。
 観てみよう。


 「グハハハ! 貴様のような穢れたサルにこの空飛ぶ脳が倒せるものか! 貴様のUFOなど小さい小さい!」

 「グハハ……」えーっと、キャラ、忘れちゃった。空飛ぶ脳は次に何するんだっけ?

 ……ダメだよ、ズルいよ! 真っ白な星をそんな風に工場でいっぱいにしちゃうなんて!

 もー、こんなお話どこで聞いたの? すごくカッコいいけどさ、変だよ……

 ……ベルギー人が教えてくれた? ベルギー人っていうのが何なのか知らないけど……

 うーん、まあいいや! この絶対神・ハイパーデスが味方についてるんだから、脳みそは絶対負けない!

 ボクたちを止めたいなら、もっと強いヒーローになるんだね、キャラ! ヘヘ!

 ……ねえ、聞きたかったんだけどさ。魔法が使えるニンゲンって……その、本当に生命を作り出せるの?

 お話で聞いたんだ……キミたちは、地上でもまだ魔法を使ってるの?

 子供だけ? でも、魔法を使ったら……えっ、すぐ病気になっちゃうの? それは悲しいね……

 うーん、おサルさんたちも魔法か何かが使えたほうがいいな、ボクはそいつらに星の雨を降らしてやるつもりだから! ハハ!

 ……うん、いいよ! ヒーロー考えるの手伝うよ。そうだなあ……地上ではスポーツがカッコいいんでしょ? スポーツ選手にしたらどうかな?

 例えば、なんだろうな……ボクサーとか! いや、待って……野球選手!

 ……それは嫌? いいよ、それじゃキミの考えるヒーローってどんなの?

 わっ、ありがと! て、照れるなあ……でもボクはいま悪役なんだからダメ、ダメ!

 ……どうしたの、悲しい顔して? 何か言いたいことがあるのかい? 必要になったら、ボクはいつでも側にいるからね、キャラ。

 ……計画って、何の? ……パパみたいにうっかりキンポウゲを飲んじゃうの? それで……

 ……。

 でも、キミのベータはどうなるのさ?


バッター
 ……テープはここで終わっている。


バッター
 「No.4」
 「王の居室でこのテープを見つけた。」
 「彼はこれを観ていない。」

バッター
 「……そして観るべきではない。」
 「わたしはそう確信している。」


アルフィー
 バ、バッター!
 わ、わたしの声がき、聞こえてる?

バッター
 ああ。

アルフィー
 そう、良かった。
 あなた……あの部屋にいるみたいね。

バッター
 このテープを壊したのはあなたか?

アルフィー
 ……。

アルフィー
 ごめんなさい。

アルフィー
 ただ……
 本当に、恐ろしくて。

バッター
 彼らに何が起きた?

アルフィー
 ああ、やめて。
 これを観ている人たちはみんな、もう察しがついてる。

アルフィー
 あなたが聞いたのは、王国の子供たちの、最期に関する話。
 「二人の」最期について。

アルフィー
 でもわたしは……そのことについて話したくない。
 ただでさえ、これから明らかになることがたくさんあるのに。


アルフィー
 ねえ……あなたに知らせておきたいんだけど、ドアの問題を手っ取り早く解決する方法があるの。

アルフィー
 電源スロットはタマシイの力か、あるいはそれに近いものに反応する。
 鍵はその力を模したものなの。

アルフィー
 モンスターやバリアに影響を与えるほど強くはないけど、長期間維持できるものよ。

アルフィー
 ドアの電源を入れられるくらいにね。
 少なくとも、整合性はあるでしょ。

アルフィー
 そこで思いついたの。
 あなたは……その、とっても強いわ。それはあなたのタマシイにも反映されているはず。

アルフィー
 あなたのその力……
 スロットに合うわ。
 ピッキングみたいな感じで使えるはずよ。試してみて!


 (あなたは自分のバットをスロットに嵌めた……)
 (カチッ!)
 (動いた。)
 (ドアの電源50%。)

アルフィー
 そうやっていけば、ドアの電源を復旧できるはずよ。
 わたしもすぐに行くから!


バッター
 「noo.19」
 「ご家ぞkがひっきりなしに電話をかけてくる」
 「あんなのどう説明したらいいの」

バッター
 「電輪にでるのはやめなきゃ」

バッター
 「……『電話』」
 「綴りなんてどうでもいい」
 「それどこrじゃない」


バッター
 「N20」
 「アズゴアが伝言を置いてった」
 「4つはみんなが怒ってるという話」

バッター
 「最gのはジョークだったけど忘れた」
 「みんなすてた」

バッター
 「あのシリンダーを開けるべkではなかったんだ」



 (あなたは自分のバットをスロットに嵌めた……)
 (カチッ!)
 (動いた。)
 (ドアの電源75%。)


 (あなたは自分のバットをスロットに嵌めた……)
 (カチッ!)
 (動いた。)
 (ドアの電源100%!)


 (あちこちからゴロゴロという音が響いてくる……)
 (脱出した方がよさそうだ。)
 (今すぐに。)


バッター
 「no.21」
 「ゴミ捨て場である人に出会った」
 「彼女は本当にステキだ。」

バッター
 「また会えるといいな。」


バッター
 「No.7」
 「わたしのアイデアにおける唯一の問題は、器だ。」

バッター
 「モンスターは、別のモンスターのタマシイを取り込むことはできない。たとえそれを掴み取ることができたとしてもだ。」

バッター
 「そして王の反ニンゲン政策からすると、すぐにはニンゲンの宿主は手に入らない……」

バッター
 「だから……わたしは考えた。」
 「ニンゲンでないものがニンゲンのタマシイを、モンスターでないものがモンスターのタマシイを取り込むことができるのなら……」

バッター
 「ニンゲンでもモンスターでもないものなら、両方とも取り込めるのでは?」


バッター
 「No.10」
 「ダメだった。あの器のアイデアは悪く無さそうだったけど、天がそれを許さなかった。」

バッター
 「NFの古いシリンダーは? あれは底の方に小さな割れ目があった。」
 「それが全てを台無しにしている。」

バッター
 「まあいい。」
 「きっとこっちの方がいい。」


バッター
 ドアの電源が復旧して開いている。
 これなら入り込めそうだ。


バッター
 ドアの電源はここには届いていない。
 別の動力源が必要だ。



 (あなたはスイッチを押した……)
 (……主電源が復旧した!)
 (電力が建物内に行き渡る!)


 (これで真実のラボから出られそうだ。)


メタトン
 おや、おや、おやあおやおや。
 ついにスイッチを押せたね。
 おめでとう!
 キミはおサルさんよりは賢かったってわけだ。

メタトン
 でも、これで終わりだなんて思わないでね。
 キミは読み……そして、流したんだ……ドクター・アルフィーの恐怖の所業を、世界へと。

メタトン
 彼らがどうなったと思う?
 安らかに死んだと思うかい、生きとし生ける者たちがそうであるように?

メタトン
 違う。
 彼らはこうやってボクたちが話しているこの瞬間にも、まだこのラボの中で生きている。
 事実、ここへ近づいてきている!

メタトン
 今にもここに現れるはずさ……


メタトン
 ああ! お出ましだ。

メタトン
 早すぎる死を迎えた彼らは、ドクター・アルフィーの過ちによりアマルガムと化した。

メタトン
 彼女が王国研究者となってから、彼らは地獄の日々を過ごしてきたんだ。
 それがどれだけ恐ろしいことか、キミには分かるかい?

メタトン
 彼らは家族に会いたがっている……
 彼らは彼らだ、ただ溶けて混ざり合っているだけ。
 しかし一つだけ、大きく違う点がある。

メタトン
 患者たちがDTを注入されて溶け出した時に、彼女はパニックになって、彼らを救おうとNFを使った。
 それは明らかな失敗だった。

メタトン
 彼らは今や即席のアドオンとなり、近づいてきたドクター・アルフィーの感情を永遠に模倣し続ける存在となってしまった。

メタトン
 そして子猫ちゃん、キミが気付いていたかは分からないけどね、ボクたちの愛すべきドクターは近頃すこぶる調子が悪い。

メタトン
 彼女はここへ向かっていると言ってただろ?
 それがこのアマルガムたちにとって良いことだとは、ボクにはとても思えないねえ……

メタトン
 この4人のモンスターの集合体と戦う覚悟はできたかい。何年間も、苦しみと寂しさと絶望だけを味わってきた彼らと!

メタトン
 行け!


メタトン
 ……どうやら、キミたちはあのニンゲンを追いかけるつもりがないらしいな。
 思い出させてあげようか、彼のタマシイはキミたちが自由になるための鍵なんだよ?


メタトン
 みんな、頼むよ!
 いったい何が気になってるって言うんだい?

アルフィー
 それはたぶん……わたしよ。


アルフィー
 み……みんな、ごめんなさい。

アルフィー
 みんな、この恐ろしい光景が明らかになっていくのを観てたよね……
 全部わたしのせいなの。

アルフィー
 わたしは……王国研究者として本当に、本当に間違ったことをしてしまった……

アルフィー
 わたし、ただただ……本当に、時間を戻すことさえできたらって思ってるんだよ?
 わたしが存在しなかった時まで。

アルフィー
 研究者になる前じゃなくて……
 わたしが「ここ」、この世に現れる前まで、ね。


メタトン
 アルフィー、子猫ちゃん……

アルフィー
 でも、時間は戻せない。
 わたしは前に進まなくちゃいけない。もう過去には戻れない。

アルフィー
 だからここからは、わたしは償いをする。
 全身全霊で。
 少なくとも、努力する。

アルフィー
 最初に……みんなに謝りたい。みんなを自由になる瞬間へ近づけてあげられなかった。
 わたしは……辞職すべきだ。

アルフィー
 次に……アマルガムのご家族に。
 真実を知る以上の苦しみを受けさせてしまった。

アルフィー
 次に……アマルガムのみんなに。
 あなたたちを永遠にここに留めておくわけにはいかない、だから……
 もう、家に帰ろう。

アルフィー
 次に……わたしの友だちに。
 あなたたちにどれだけ感謝してるか、わたしをどれだけ励ましてくれたか、わたしはこれまで全然気付いてなかった。

アルフィー
 今この人たちと向き合えているのも、あなたたちのおかげ。

アルフィー
 そして最後に……メタトン、あなたに。

メタトン
 ボクに?

アルフィー
 もちろん、あなたよ!
 わたしはあなたのことを一番失望させてしまった。

アルフィー
 わたしはあなたのボディを、この職を得るための嘘に利用した。
 それなのにその後、わたしはあなたの側にいなかった……

アルフィー
 この人たちの真実があなたに伝わってしまったとき……
 それをあなたがどう思うか、わたしはちっとも考えてなかった。

アルフィー
 借り物の身体に閉じ込められて、自由になりたいと望むことがいったいどういうものか、あなたが一番よく分かっているはずだもの……

アルフィー
 わたしはほとんどあなたを助けなかった。
 あなたが忙しいからって言い訳してた。

アルフィー
 あなたはもうわたしと会いたくないからって。
 わたしを「使い」たくないからって。

アルフィー
 ……なぜだか、自分についたその嘘が一番傷ついたよ。
 自分は友だちになる価値もない存在なんだって思い込んだ。

アルフィー
 だからわたしはあなたを避けてた。あなたが舞台の上で、不変の借り物のボディに宿ったゴーストとして壊れていくのを黙って見てた。

メタトン
 ゴッ、ゴースト?
 ねえちょっと! そんなバカなこと言うもんじゃ……カメラが回ってるんだよ、子猫ちゃん!

バッター
 そこが重要なんだろう。

アルフィー
 メタトン……あなたの味方でいようとしなかったこと、本当にごめんなさい。
 わたしを許してくれる?


メタトン
 子猫ちゃん……

アルフィー
 なあに、メタトン?

メタトン
 ……。

メタトン
 ああ、こんなもったいぶった喋り方は止めだ。
 アルフィー、ボクも本当にすまなかった……

メタトン
 もし……
 もしキミが、ボクの友だちであること……
 あるいは、ボクのボディを完成させることが嫌になったなら……
 ボクは構わない。

アルフィー
 違うよメタトン、そんなこと言わないで。
 わたし、あなたを完成させるのが本当に楽しみなんだよ。

メタトン
 本当に……
 キミの言葉には胸を打たれたよ、アルフィー
 どうやらその前に、ボクも……
 誰かに謝る必要がありそうだ。

アルフィー
 そう。
 また後でね?

メタトン
 後でね。
 ……子猫ちゃん。


アルフィー
 さあ、みんな……
 家に帰ろう。


バッター
 「No.8 :)」
 「ぴったりな入れ物が見つかった。」

バッター
 「女王さまが去られた直後、庭に一輪の花が咲いた。」
 「地上から来た花だ。」

バッター
 「王子さまが、お二人の腕の中で息を引き取られた場所。」

バッター
 「わたしには非常に象徴的に思えた……他者のために犠牲となった、一つの命。」

バッター
 「……そう、ここに座り、花を摘み、浮かんだその言葉がわたしに一つの考えをもたらした。」

バッター
 「以前抽出したDTはまだ少しだけ残っている。DTは、生きる意志を与える……」

バッター
 「……もしこの花に、生きる決意を与えたらどうなるのだろう?」

バッター
 「noo.18 :(」
 「花が行方不明になった」
 「脅威のドクター・アルフィー またもポカをやらかす」


バッター
 電源が戻った。
 上へ行こう。