四の五の

OFF派生のまとめとか洋ゲーの和訳とか

SpaceCommunist版OFFtale(虐殺ルート:ニューホーム)

SpaceCommunist氏作成のOFFtaleの邦訳記事です。
※UNDERTALEについては公式日本語版準拠ですが、OFFの世界観に合わせるため漢字メインにしています。
※OFFについては非公式日本語版未プレイにつき個人訳準拠です。

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●出典OFFtale AU - New Home (Genocide)

 

 

フラウィ
 さあ……帰ってきたよ、キャラ。
 手付かずで残ったのはここだけだ。

フラウィ
 その、言いにくいけど……
 ここはいつも、こんな風にパッとしない場所だったよね?

フラウィ
 ……ねえ。
 聖人。
 ボクを下ろして、地面を感じたい。


フラウィ
 キャラ、ここで遊んでた時のこと覚えてる?
 ああ、あの頃は良かったね。

フラウィ
 ヒヒ……
 今日は、同じくらい楽しくなるよ!

フラウィ
 ……。
 あのさ、最初にここで目覚めた時のこと、まだ覚えてるんだ。
 ボクたちが……地上に出た後のことだ。

フラウィ
 ボクはすごく怖かった……
 「ママ、パパ、誰か助けて!」って泣いた。
 ああ、そうさ……情けない。

フラウィ
 でも誰も来なかった。

フラウィ
 最終的に、王さまが庭で泣いてるボクを見つけて……

フラウィ
 ボクは彼に、何が起きたのかを話した。
 そうしたら……
 彼はボクを抱きしめたんだよ、キャラ。

フラウィ
 目に涙を浮かべてね……
 彼は言ったよ、「よしよし、もう大丈夫だからね……」

フラウィ
 彼はとても……感情に溢れてた。
 嬉しそうで、悲しそうで、怯えてて、それでいて優しかった……

フラウィ
 でも、何故か……
 ボクは……何にも感じなかったんだよ、キャラ……

フラウィ
 彼にも……
 誰にも、何に対しても。

フラウィ
 何週間も、ボクは思いやりの心を取り戻そうと頑張った……
 かつて、キミと暮らしていた頃のように。

フラウィ
 本当だよ、ボクは努力したんだ!
 あのボンクラ王と何週間も無駄に過ごして……それでもどうにもならなかった!

フラウィ
 だから……ボクは出て行った。
 遺跡まで逃げた。
 そして……彼女を見つけた。

フラウィ
 ボクが知る中で、彼女ならボクに心を取り戻させることができると思ったからね……

フラウィ
 ……。

フラウィ
 ボクは……その、自分を見失った。
 キミでも、ボクの言葉を信じられないかもしれないけど……

フラウィ
 ボクは思ったんだ……
 こんな人生、もう生きている価値なんて無いって。

フラウィ
 感情も無く。
 キミもいない。

フラウィ
 だから……ボクはキミに倣った。
 ボクは……自分自身の存在を消してしまうことにした。

フラウィ
 そうしたらね?
 ボクは成功したんだ。

フラウィ
 タマシイもないのに……いったい何が起こったんだろうね?

フラウィ
 ボクは……何かを感じかけた。
 言うなれば、激情だよ……死にたくないっていう。

フラウィ
 ボクはそれを受け入れて……
 ……。
 そして、目覚めた。
 あの庭へ戻ってきた。

フラウィ
 「セーブポイント」へ戻ってきたんだ。

フラウィ
 それでボクは、あの激情をテストすることにした。
 ボクの決意を。

フラウィ
 絶体絶命の状況になった時……ボクは選択した。
 永遠に消えるか……戻るか。

フラウィ
 凄いだろ?
 ……。


フラウィ
 キミが話せないことは知ってるけど、ボクには分かる。
 キミはきっと驚いてるよね。
 ああ、ボクもそうだった。

フラウィ
 ボクはこの能力を使って、みんなを助けることにした。
 みんなの問題を解決して……
 生活を楽にしてあげた。

フラウィ
 でも……ボクは恐ろしいことに気付いてしまったんだ、キャラ。
 しばらくして、みんなの行動が……すっかり予測できるようになったんだ。

フラウィ
 パターンが見えてくるようになった……
 イベントも、その行動も……推測がつくようになった。

フラウィ
 ただひとつ……ぼくが触れていなかったものがあった。
 そのひとつの要素が、全てを変えた。

フラウィ
 死だ。

フラウィ
 好奇心で、ボクはみんなを殺し始めた。
 あるいは、攻撃してみた。

フラウィ
 その時は、こんなの嫌だって自分に言い聞かせてたよ。
 これはただ後学のためにやっているだけなんだって。

フラウィ
 ハッ!
 なっさけない言い訳だよね!

フラウィ
 ボクたちは3人とも、この行為がどれだけ自由なのかを知ってる!

フラウィ
 少なくともボクたちは、殺しが大好きなくせにビビッて見てることしかできないキチガイどもよりはマシさ!

フラウィ
 いったい今、何人がこの成り行きを見守っていることだろうねえ……?


フラウィ
 でも今は……それさえも退屈だ。
 殺害すら……予測できるようになってしまった。

フラウィ
 キャラ……きみには分からないだろう……
 ボクは全部やった。

フラウィ
 全部だ。

フラウィ
 でも……この、ここにいる男と。
 そしてキミだけは。
 二人とも予測がつかない。

フラウィ
 証拠が欲しい?
 ボクは、キミの決意がボクを上回るなんて思ってなかったんだよ!

フラウィ
 それに、ボクはこの聖人の能力だって全く予測できなかった……

フラウィ
 彼の神聖なる旅のことなんてなおさらさ。

フラウィ
 さあ、ここから何が起きるか。
 バッターは彼の仕事を終える……

フラウィ
 そしてボクは王さまの集めたタマシイを取る。
 7つのタマシイで……
 ボクたちはすさまじい力を得る。

フラウィ
 強いニンゲンは、生命を生み出せるんだって……
 でもモンスターには、その力は数回しか使えない。

フラウィ
 たとえ7つのニンゲンのタマシイの力を以ってしても。

フラウィ
 だから……
 彼の仕事が終わったら……
 ボクはこいつからキミを解放する。

フラウィ
 ボクは元の身体を取り戻す。
 そしたら一緒に……
 何だってできるよ。

フラウィ
 ボクはさ……力の使い道について、面白いアイデアがあるんだ……
 ヒヒ。

フラウィ
 ……。

フラウィ
 ……でも……

フラウィ
 考えたんだけど……
 ボクがキミを蘇らせて……
 ボク自身も取り戻したら……

フラウィ
 地上で一緒に暮らすっていうのも、悪くないんじゃないかな。

フラウィ
 そう……それが、ボクの計画。

フラウィ
 心配しないで。彼の計画についてはボクも理解してるからさ。
 こいつに必要なのは王さまを殺すことだけ。

バッター
 ガーディアン。
 ガーディアンだ。
 必ずしも王とは限らない。
 ここでは意味合いが違う。

フラウィ
 ああ、そうかい
 じゃ、アイツが死んでもこの場所が灰色にならなかったらどうするの?

バッター
 ガーディアンの役割は、移ったということだ……
 ……その……
 ……次にふさわしい存在へと。
 

バッター
 ……アズリエル。

フラウィ
 おやおや、気付くまでずいぶんかかったね。
 そうだよ、それがボクだ。
 そんなようなもんだ。


フラウィ
 な……何でそんな目でボクを見るんだよ……?
 止めろよ!
 今すぐに!

バッター
 狂気に囚われた悪魔の子よ。
 お前はまだ分かっていないな。

フラウィ
 分かってるよ、お前の話はもう聞いたよ!
 ガーディアンの役割が移ったんだろ……

フラウィ
 ……。

フラウィ
 ……次にふさわしい、存在に……

フラウィ
 ……ハハ、ハ、ハ……
 (何だ、この……)
 (この気持ちは……?)

フラウィ
 ねえ……
 さっきのこと、き、気に障ったんじゃないよね?


フラウィ
 お、おい!
 下がれ!
 ……キャラ、何とかしてよ!


フラウィ
 ……気……気が変わったよ……
 ここは昔からずっと何ともないよ……!

バッター
 なら、お前は我が使命の邪魔だ。


フラウィ
 ……キャラ……
 ……。


ガスター
 また会ったな、バッター。

ガスター
 あれだけのことがあったのに……
 警告され、脅され……
 ヒーローが立ち向かい……
 それでも君は来た。

ガスター
 私は……君を見くびっていた。
 それが私の失敗……数限りない、他の失敗と同じように。

ガスター
 次に何が起こるか君には分かっているだろう……?
 最後の、予期せぬ敵が君の前に立ちはだかる。

ガスター
 ……。

ガスター
 お断りだ。
 私は二度と、助けられるはずの相手を傷つけるようなことはしない。
 私はもう、あまりにも多くの人々を傷つけてきた。

ガスター
 私は強情だろう?
 生ける者全ての運命を変えかねない戦いに、平和主義を持ち込む……
 ……君が学ばねばならないことだ。

ガスター
 ……何にせよ。
 私は、自分のものではない姿を取り続けるのに疲れた。

ガスター
 来たまえ。


ガスター
 ほう、君はそこまで私の本当の姿を見たいのだね?

ガスター
 よろしい。
 好きにするがいい。


ガスター
 ああ……見目麗しき姿でないことは私も分かっている。

ガスター
 だが、私の言いたいことを伝えるにはこれで十分だ。


ガスター
 ……何と?
 もう攻撃するのか、私がまだ話し出してもいないのに?

ガスター
 良かろう、どうぞご自由に。
 いずれ分かるさ、君の攻撃が実に……無意味であることを。


ガスター
 これは確かに痛いな……
 だが君も気付いているだろうが、ダメージは一切無い。

ガスター
 なあバッターよ、教えてくれ……
 存在しない者を、どうやって傷つけられるというのだね?



 ?????? ???ATK ???DEF
 存在しない者。私を止めることはできない。
 ただ成り行きを見守れ。

ガスター
 ……。


ガスター
 予想通りだ。
 私が嘘をついていないことを確かめるための、躊躇ない攻撃。

ガスター
 それとも、ただ単にどうしようもなく馬鹿なだけかもしれない。
 君ならやりかねん。
 私だってそうしたかもしれない。

ガスター
 バッター、私を見ろ。
 この身体……これは、ある壊れた男の抜け殻だ。

ガスター
 自らの目的を……「使命」を……愚直に、一心に追求した者に残された、唯一のものだ。


ガスター
 私の行動によって、全てが犠牲になった……
 全てだ。

ガスター
 私は自らの命を……
 存在を失った……いともあっさりと。

ガスター
 私のやってきたこと全てが時空間から消え失せ……そして、私の為したこと全てが水泡に帰した。

ガスター
 私の甥たち……
 バリアを破壊する方法を無心に追い求めるうちに、私は彼らと不和になり、彼らを悩ませた。

ガスター
 私の起こした事故で、彼らは見知らぬ世界へ飛ばされてしまった。
 未知のタイムラインへと。

ガスター
 兄の方は自己嫌悪と憂鬱に沈み……
 弟の方は寂しさと、無茶な自己愛に追い込まれた。


ガスター
 バッター、頼む。
 最後まで言わせてくれ。
 全ての生命がこれにかかっているのだ。

ガスター
 私が居なくなったばかりに、何も知らぬ女性に、私の研究所で恐ろしいものを生み出させてしまった。

ガスター
 さらに酷いことに、あの落ちてきた子供を病気にさせてしまった。
 私がいなかったばかりにあの子は死に、そればかりか我々の希望までも潰えた。

ガスター
 この地がここまで荒廃したのも、モンスターたちが容赦なくニンゲンたちを攻撃するようになったのも、私のせいだ。

ガスター
 全ては、私が強情に自分の使命にこだわり、他の何よりもそれを優先させたからだ。

ガスター
 その我が失敗の代償も……
 君がこのまま続けた時に君に降りかかるものに比べれば、霞んでしまう。

ガスター
 私はただ君に警告しているのではないのだ、バッター。
 私は君に「請うて」いる。
 もう止めてくれ。

ガスター
 むう……
 バッター……
 ……止せ。
 今すぐに。


ガスター
 もういい!


ガスター
 私の我慢も限界だ。
 私が君を何度も、何度も殺さなければならないというなら……
 そうしよう。

ガスター
 私が……


ガスター
 ……待て……
 この気持ちは……

ガスター
 ……。

ガスター
 ……私は……馬鹿か。


ガスター
 ……そうだ……
 地底の世界がみな浄化されれば……
 私は消えない。

ガスター
 結局、この地にはもはや何も無い、そうだな?
 私を引き止める現実は存在しないのだ。

ガスター
 しかし……地底の世界の全てが浄化されたわけではないだろう?
 ……ニューホームが残っている。

ガスター
 ……浄化されていない場所がひとつでも残っている限り、私は永遠にこの姿を留めておくことはできない。

ガスター
 私は……その事実を忘れていた。
 どうやらまたしても、私は自らの愚かさを白日に曝していたようだ……

ガスター
 自分が消えていくのを感じるよ……

ガスター
 ……。

ガスター
 バッターよ……

ガスター
 君が私の警告も……私の懇願も、気に留めないつもりなら……

ガスター
 ならば……我が闇よりの友人よ……
 ひとつだけ私のためにして欲しいことがある。

ガスター
 全てを失った愚かな老いぼれの、最後の頼みだ……

ガスター
 私を忘れないでくれ。