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OFF派生のまとめとか洋ゲーの和訳とか

SpaceCommunist版OFFtale(虐殺ルート:ウォーターフェル その1)

SpaceCommunist氏作成のOFFtaleの邦訳記事です。
※UNDERTALEについては公式日本語版準拠ですが、OFFの世界観に合わせるため漢字メインにしています。
※OFFについては非公式日本語版未プレイにつき個人訳準拠です。

(前→スノーフル その2
(次→ウォーターフェル その2

●出典OFFtale AU - Waterfall (Genocide), Part 1

 

 

アンダイン
 ハァ……ハァ……
 さあ……
 戦いを望むクソ野郎どもがまだいるのなら……

アンダイン
 いいだろう、かかって来い!
 わたしは、ハァ、ハァ……
 独りでも喜んで貴様らの相手をしてやる……!

アンダイン
 ただし……ハァ……
 パピルスとその兄が、スノーフルから戻ってくるまでだ……

アンダイン
 貴様ら化け物の中に、血溜まりになりたいヤツがいるなら……
 今がその……ハァ……チャンスだ!

アンダイン
 ……?
 ……!

アンダイン
 ハハア!
 後ろからなら近づけると思ったか?
 臆病者! 貴様らは臆病者だ!

アンダイン
 出て来い、その醜いツラを見せろ!
 貴様らのやってきたことの代償として……
 じっくりといたぶってやる!

モンスターの子
 いいぞ、アンダイン!
 誰がボスなのか見せてやれ!

アンダイン
 何?

フラウィ
 (何だ?!)

アンダイン
 キッド?!
 そこで何をしている?!
 アルフィーと一緒に隠れていたはずだろう!

モンスターの子
 大丈夫だよ、アンダイン!
 オレ、ワルモノをやっつけるの手伝うよ!
 オレの強さを証明するんだ!

モンスターの子
 じゃ、やっつけるヤツを探してくるね!
 見ててよ、オレはアンダインと同じくらい強いんだぜ!!!


アンダイン
 止せ!
 キッド、待て!

アンダイン
 止まれ!!!

バッター
 ……。

フラウィ
 言っただろ?

フラウィ
 バカなのさ。
 みんな。一人。残らず。


 その後。



 ……バッター……

バッター
 ん?

フラウィ
 何だよ?

バッター
 何か言ったか?

フラウィ
 え、何も。
 先に進めよ。

バッター
 ……。



 もういいでしょう、バッター。
 これはあなたが壊すべき祝宴ではないの。


フラウィ
 今度は何だよ?

バッター
 その声を知っている。

フラウィ
 「声」って何だよ?
 いよいよ気が狂っちゃったワケ?!


 狂気の歌声に耳を貸してはだめよ、貴方。
 わたしの声だけを。


 バッター、深淵があなたを待っているわ。
 そしてわたしもそこに。


 貴方、お願い……
 帰ってきて。


 わたしのところへ来て。


クイーン
 貴方……
 わたしも会いたかった。


 一時の狂奔の後。


フラウィ
 よし、10秒やるから理由もなしにバカみたいに逃げ出したワケを説明して。

バッター
 確かに見た気がしたんだ……
 ……待て。

バッター
 ……「バカみたいに」?

フラウィ
 口癖だよ、いい?!
 質問に答えろよ!!!

バッター
 居たんだ……誰かが。
 柱の間に。

フラウィ
 えーぇ、きっと誰かが居たんでしょうねえ!
 キミのバカげた妄想なんかじゃ絶対になく!

フラウィ
 しっかりしろ。
 キミは幻を見てる。
 そして大事なことは、キミはそれをやめる必要があるってことだ。

バッター
 あれは……私の知っている人だった。

フラウィ
 へえ、キミの知り合い?
 それがホントなら、こんなとこへノコノコやってくるなんて、キミよりも輪を掛けてバカだね!

フラウィ
 キミには良いトモダチが居なかったんだねえ。
 もちろんボクは例外だよ、ボクの意見だけど。

フラウィ
 教えてよ。
 そいつはどんな見た目をしてんの?
 キミに似てるってんなら、きっと目も当てられないんだろうな。

バッター
 止せ。

フラウィ
 それとも何かい?
 またキミの神聖なる使命の話でもする?

フラウィ
 正直、キミがあんな風に逃げ出したのも分かるよ。
 ボクも嫌だもん、そんなオッソロシイヤツに付きまとわれて話を聞くなんて……

バッター
 彼女をそんな風に言うな。

フラウィ
 ああ、そいつは女だったんだ?
 じゃ、きっとキミが大切に思ってる人なんだね!

フラウィ
 ざーんねん、キミみたいな血も涙も無い化け物を愛せるヤツなんかいやしないよ!

フラウィ
 たとえ臭くて高慢ちきで寂しがりやでブッサイクな、正真正銘のヒッドいヤツでも……

バッター
 黙れと言っている。

フラウィ
 おっ、キミの言葉の奥に聞こえたそれ、感情ってやつ?

フラウィ
 いやあ、どのくらい掛かったかな?
 何時間もひたすらお喋りしてバカにして、ようやくキミから感情のひとかけらを引き出せたわけだ?

フラウィ
 進歩はあったみたいだ。

フラウィ
 でもこんなんじゃ割りに合わないよ、キミがこれまでどんだけつまんなかったことか。

フラウィ
 誓ってもいい、キミがキャラと一緒じゃなきゃ……
 そして、地べたにへばりついてるのがそこまで危険なことじゃなきゃ……

フラウィ
 ボクはもうとっくの昔に、キミを見捨ててた。

フラウィ
 けど……やれやれ。
 ボクたちの前にはまだまだ道が続いてる……

フラウィ
 だから、バカな幻覚でもたつくのはやめろよ!

フラウィ
 さあ!
 いい加減先に進めって!


フラウィ
 え?
 何を立ち止まってんの?!

バッター
 何かが邪魔をしている。

モンスターの子
 な……
 ちょ、ちょっと!
 オイ、オレの場所取るなよ!
 アンダインに帰されちゃうじゃん!

フラウィ
 ……おい、冗談キッツいぞ。

モンスターの子
 そう! オレだよ……キッドだよ!
 ねえ静かにしてよ、アンダインに見つかっちゃう!

フラウィ
 アンダイン……?
 どこだ?!

モンスターの子
 あそこ!
 シーッ!

フラウィー
 「シーッ」とか言うな!


モンスターの子
 あの……
 こ、こんちわ、アンダイン……

アンダイン
 キッド。
 聞け。
 おまえはここがどれだけ危険なのか全く分かっていない。

アンダイン
 何故まだここにいる?

モンスターの子
 あの……その……ワケがあって……
 ほ、ほら、その……
 とーちゃんもかーちゃんも、姉ちゃんも……
 みんな、その……

アンダイン
 いいか、キッド。
 彼らのことはもう知っている。

モンスターの子
 あ、ああ……
 そうなんだ……
 ……。

アンダイン
 キッド、彼らを言い訳に使うな。
 友だちとお喋りする口実にも。
 ましてやここに逃げ込むための口実になど。

モンスターの子
 オレ……その……ご、ごめんなさい……

アンダイン
 いいんだ。
 おまえがどこから来たのかは分かっている。
 おまえの両親のことも、どうしてここにいるのかも。

アンダイン
 だがおまえは行かなければ。
 言っただろう、スケルトンの兄弟とわたしが戻るまでは、アルフィーがみんなと一緒におまえを守ってくれる。

モンスターの子
 で、でもさ……
 アンダインのことは誰が守るの?

アンダイン
 わたしは……心配いらない。
 わ……わたしは大丈夫だ。
 自分のことは自分で守れる。

モンスターの子
 でもオレ、しょ、証明したいんだ……!
 オレはアンダインと同じくらい強くなれるんだって!
 オレも一緒に戦える!
 アンダインをま、守れるって!

アンダイン
 キッド……わたしはそんな……
 ……いいか。

アンダイン
 キッド、おまえは子供だ。
 経験も無く……
 落ち着きも無く……
 腕も無い。

モンスターの子
 で、でもアンダインも片目が無いじゃん!
 それでも強くなれた!

アンダイン
 ああ……そうだな。
 それでもわたしの言いたいことは変わらない。
 おまえは……わたしの仕事が勤まるほど強くない。

モンスターの子
 ……。
 アンダイン……

アンダイン
 ……なあ、ちょっと待ってくれ。
 さっきわたしが聞いた声はおまえだけじゃなかった。
 キッド、誰か一緒に居たのか?

モンスターの子
 う、ううん……
 ここにいる変な白い男の人と、喋る花だけ……

アンダイン
 おい貴様ら!
 今すぐ出て来い!
 さもないと酷い目に遭うぞ!

モンスターの子
 ……なあ、ふ、二人とも聞いてる……?

アンダイン
 ……クソッ。
 もう逃げ出した後か。

アンダイン
 よしキッド、まだ報告を受けていないモンスターがいるんだ、その二人組の見た目を詳しく教えてくれ。

モンスターの子
 う、うん……
 アンダイン……


フラウィ
 ねえ。
 あのエコーフラワー、まだ生きてるかな。



 生きているよ、小さき者よ。
 君と違ってこの花は正しく機能している。

フラウィ
 ……へっ?
 こ……こんな声、聞いたことないぞ……


 当然そうだろう。
 私の声を聞いたことがある存命の者は少ない。
 浄化の後ではなおさらな。
 そして記憶している者は一人もいない。

フラウィ
 ……待ってよ……
 この花……
 ……ボクたちに答えた?


 そのことは聞かないでくれ。
 この花の粒子は破壊された現実を基にして成り立っている……
 ……私と同じように。


 ところでバッター、私は君に感謝しなければならない。
 君の行動は私に声を与えてくれた。
 触れることができる実体もな。


 世界の一部が破壊されたお陰で……
 今、私は君たちに話しかけることができている。


 そうでなければ、私は元の闇へと引きずり戻されていたことだろう、バッターよ……


 ……また喋りすぎたかな?
 すまない。
 私の癖でね。
 ……いや、癖「だった」というべきか。


 幸い、君が浄化を進めたことで以前のようにすぐに消える必要も無くなった。


 私には時間があるということだよバッター、君の友人、愛する人、そして敵対者に話してもらう機会を作るために必要な時間がね。


 だがこれにばかり時間を費やすことはしない。
 君は証明してきた……昔も今も彼らの願望に対して頑なであることを。


 ゆえに私は君に最後通牒を与える。
 友と思っている者にこんなことを突きつけるのは私も望まないのだがね。


 今すぐ旅を止めるんだ。
 闇へ帰れ、そこでは君の愛する人々が君を喜んで迎え入れるだろう。


 しかしこのまま続ければ、君は多くの試練に直面する。
 付け加えておくと、その全てが私の手によるものというわけではない。


 自分の胸に問うてみたまえ……真のヒーローに立ち向かうということがどんなものか考えたことはあるか?
 私を無視すれば、きっとそれは現れよう。


 そして、君の強さが本物で……
 真のヒーローとその勇気を打ち破るほどだったなら……


 君はいずれ恐ろしい時を迎えるだろう、かつて私の甥が言っていたようにな。


 ……いや、「最悪の経験をする」だったか?


 いずれにせよ……
 君が見たくはないものさ。


 そして何より……
 バッター、覚えておいてくれ。


 君の使命は不可能だ。
 達成することはできない。
 それはより大きな力に奪われ、君の意に反して利用されることになる。


 そのもう一つの結末は……
 さらに酷い。
 それは……


 (エコーフラワーは静かになった。)

フラウィ
 ……。

バッター
 ……。

フラウィ
 ……何だよ、これ?